下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成27年 問9

【動画解説】法律 辻説法

【問 9】 区分所有法第6条第1項の区分所有者の共同の利益に反する行為を行っている者(以下「義務違反者」という。)に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 専有部分で騒音や悪臭等を発生させる営業を行っている義務違反者に対しては、区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有法第59条による区分所有権及び敷地利用権の競売請求が認められる。

2 区分所有者の管理費等の滞納によって、共用部分等の管理に要する費用が不足し管理が不十分になったり、他の区分所有者の立替えの必要が生じたりする場合は、当該区分所有者の滞納は、区分所有者の共同の利益に反する行為に該当する。

3 管理費等の滞納による義務違反者に対しては、区分所有法第57条の差し止め請求及び第58条の専有部分の使用禁止の請求を行った上で、それでも功を奏さない場合でなければ、同法第59条による区分所有権及び敷地利用権の競売請求は認められない。

4 管理費等を滞納している義務違反者に対して、管理費等の滞納の解消を図るため「管理者は、区分所有権及び敷地利用権の競売請求の訴えに関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、原告となることができる。」旨規約に定めることはできない。

【解答及び解説】

【問 9】 正解 3

1 正しい。区分所有者の共同の利益に反する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。
*区分所有法59条1項

2 正しい。管理費の支払義務は、区分所有建物の管理に関する基本的な義務であるから、共用部分等の管理に要する費用が不足し管理が不十分になったり、他の区分所有者の立替えの必要が生じたりする場合は、共同の利益に反する行為に該当する。
*区分所有法6条

3 誤り。管理費等の滞納は、共同の利益に反する行為に該当するが、それによって区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるのであれば、第57条の差し止め請求や第58条の使用禁止の請求を行うことなく、いきなり競売請求をすることができる。
*区分所有法59条1項

4 正しい。管理者又は集会において指定された区分所有者は、「集会の決議」により、区分所有者の全員のために、区分所有権及び敷地利用権の競売請求の訴えを提起することができるが、「理事会の決議」により管理者を原告とする旨の規約を定めることはできない。
*区分所有法59条2項


【解法のポイント】この問題も基本的な問題だったと思います。肢2と肢3は単純に条文だけで解答できる問題ではありませんが、これくらいは押えておいて下さい。