下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成27年 問8

【動画解説】法律 辻説法

【問 8】 敷地が甲地、乙地及び丙地の3筆に分かれ、101号室、102号室及び103号室の3つの専有部分が存する区分所有建物がある。甲地及び甲地上の101号室はAが、乙地及び乙地上の102号室はBが、丙地及び丙地上の103号室はCが、それぞれ所有している(いわゆる分有形式)。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法、民法及び不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 Aが甲地及び101号室をDに譲渡した場合、101号室の権利の移転の登記がなされても、甲地の権利の移転の登記がなされなければ、Dは、甲地の権利を、第三者に対抗することができない。

2 Bが死亡して相続人がないときに、遺贈を受けた者が存在せず、また特別の縁故があったものに対する相続財産の全部又は一部を分与する家庭裁判所の審判もない場合には、乙地及び102号室は国に帰属する。

3 管理組合が丙地の管理を行う旨の規約の定めがなくても、管理組合は、丙地の管理を行うことができる。

4 区分所有建物の共用部分のA、B、Cの持分について、それぞれ甲地、乙地、丙地の面積の割合によることとする規約を定めることができる。

【解答及び解説】

【問 8】 正解 3

1 正しい。敷地利用権が「数人で有する」所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない(区分所有法22条1項)。しかし、本問のような分有形式の場合、土地を共有しているわけではないので、分離処分は禁止されておらず、土地の譲渡についても、別途登記しておく必要がある。
*民法177条

2 正しい。本問は分有形式であり、そもそも乙地は共有地ではなく、乙の単独所有であるから、相続人がいない場合には、乙地及び102号室は国庫に帰属する。
*区分所有法24条参照

3 誤り。建物の敷地が管理組合の管理に属するのは、敷地が区分所有者の共有に属する場合であり、分有の場合には、敷地は各区分所有者の単独所有となっているので、管理組合は丙地の管理をすることはできない。
*区分所有法21条

4 正しい。共用部分の各共有者の持分は、その有する「専有部分」の床面積の割合によるが、これは、規約で別段の定めをすることを妨げないので、甲地、乙地、丙地の面積の割合によることとする規約を定めることができる。
*区分所有法14条4項


【解法のポイント】本問は、やっとマンション管理士らしい難しい問題だったと思います。分有形式は、過去問でも出題されており、一度しっかりまとめておく必要があると思います。