下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成27年 問6

【動画解説】法律 辻説法

【問 6】 区分所有者Aが甲マンションの管理者である場合の管理者の地位の喪失に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 集会の目的たる事項が、Aを管理者から解任する旨の議案であっても、Aは、集会の決議において、議決権を行使することができる。

2 Aをその管理者から解任する旨の議案が集会で否決されたときは、区分所有者Bは、Aにその職務を行うに適しない事情があることを理由とする管理者の解任を求める訴えを提起することはできない。

3 Aが集会の決議に基づいて管理者になっているときは、辞任によって管理者の地位から離れるためには、集会において辞任を承認する決議が必要である。

4 Aが死亡し、妻CがAのただ一人の相続人である場合には、CがAの管理者としての地位を承継して、管理者となる。

【解答及び解説】

【問 6】 正解 1

1 正しい。集会の目的たる事項が、Aを管理者から解任する旨の議案であっても、Aも区分所有者である以上、議決権を行使することができる。
*区分所有法38条

2 誤り。管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。これは、管理者の集会での解任決議が否定された場合でも同様である。
*区分所有法25条2項

3 誤り。管理組合と管理者の関係は、委任関係であり、委任においては、各当事者がいつでもその解除をすることができるので、Aは辞任によって管理者の地位を離れることができ、これについて集会において辞任を承認する決議は不要である。
*区分所有法28条、民法651条

4 誤り。この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。そして、民法では受任者の死亡は、委任契約の終了事由とされている。したがって、妻CがAのただ一人の相続人であっても、Cが管理者の地位を承継することはない。
*区分所有法28条、民法653条1号


【解法のポイント】管理組合と管理者は、委任関係であるという視点・条文は、重要です。その意味では、民法の委任の規定は、民法の問題として重要であるばかりでなく、区分所有法の管理者の問題としても重要です。