下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
平成26年 マンション管理士 本試験 【問 20】
【問 20】 違反建築物等に対する措置に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 特定行政庁は、建築基準法令の規定に違反することが明らかな建築工事中の共同住宅について、緊急の必要がある場合においても、通知、意見の聴取等の手続きをとらなければ、建築主、工事請負人又は工事現場管理者に対して工事の施工の停止を命ずることができない。

2 建築監視員は、建築基準法違反の共同住宅について、緊急の必要がある場合でなければ、当該建築物の所有者等に対して、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることはできない。

3 特定行政庁は、違反建築物ではない床面積の合計が200㎡を超える共同住宅について、著しく保安上危険であると認める場合であっても、当該建築物の所有者等に対して、勧告をした後でなければ、除却等の命令をすることはできない。

4 特定行政庁がそのまま放置すれば著しく保安上危険となると認めた共同住宅の所有者等に対して保安上必要な措置を命じた場合においては、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないときであっても、行政代執行法の定めるところに従って特定行政庁が自ら当該所有者等のなすべき行為をすることはできない。

【解答及び解説】

【問 20】 正解 2

1 誤り。特定行政庁は、建築基準法令の規定に違反することが明らかな建築の工事中の建築物については、緊急の必要があって通知、意見の聴取等の手続によることができない場合に限り、これらの手続によらないで、当該建築物の建築主又は当該工事の請負人若しくは現場管理者に対して、当該工事の施工の停止を命ずることができる。
*建築基準法9条10項

2 正しい。特定行政庁は、建築基準法違反の共同住宅について、当該市町村又は都道府県の職員のうちから建築監視員を命じ、緊急の必要がある場合においては、当該建築物の所有者等に対して、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。「緊急の必要がある場合でなければ」これらの処分をすることはできない。
*建築基準法9条の2

3 誤り。特定行政庁は、床面積の合計が200㎡を超える特殊建築物について、「損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認める場合」を超えて、「著しく保安上危険であり、又は著しく衛生上有害であると認める場合」においては、勧告をすることなく、当該建築物の所有者等に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却等の必要な措置をとることを命ずることができる。
*建築基準法10条3項

4 誤り。特定行政庁がそのまま放置すれば著しく保安上危険となると認めた共同住宅の所有者等に対して保安上必要な措置を命じた場合においては、違反建築物に対する措置の「行政代執行法の定めるところに従い、みずから義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる」旨の規定が準用されている。
*建築基準法10条4項


【解法のポイント】この問題は、建築基準法9条と同法10条の問題ですが、それにしても細かい出題ですね。これを正確に理解していて、正解を導き出すことは難しかったと思います。