下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
平成26年 マンション管理士 本試験 【問 16】

【動画解説】法律 辻説法

【問 16】 甲マンションの201号室を所有するAが、管理費60万円を滞納したまま遺言をすることなく平成25年12月1日に死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 Aの死亡より前に配偶者が死亡し、Aに実子B及び養子Cがある場合、B及びCがいずれも単純承認したときは、滞納管理費については、B及びCが各30万円を承継する。

2 Aの死亡より前に配偶者が死亡し、Aに実子D及び実子Eがある場合、Dが単純承認し、Eが相続放棄したときは、Dが滞納管理費60万円全額を承継する。

3 Aに配偶者F、実子G及び実子Hがあり、Aの死亡より前にG及びHが死亡し、Gに実子Iがあり、Hに実子J及び実子Kがある場合、F、I、J及びKがいずれも単純承認したときは、滞納管理費については、Fが30万円、I、J及びKが各10万円を承継する。

4 Aに配偶者、子がなく、Aの死亡より前に実父が死亡し、Aに実母L及び兄Mがある場合、Lが単純承認したときは、Lが滞納管理費60万円全額を承継する。

【解答及び解説】

【問 16】 正解 3

1 正しい。実子と養子は相続分については異ならず、また、管理費は金銭債権であるから、それぞれ相続分に応じて分割されたものを相続するので、滞納管理費については、B及びCが各30万円を承継する。
*民法900条1号

2 正しい。相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされるので、Dが単純承認し、Eが相続放棄したときは、Dが滞納管理費60万円全額を承継する。
*民法939条

3 誤り。まず、配偶者の相続分は1/2であるから、Fが30万円を承継するという点は正しい。次に、実子G及び実子Hは被相続人の死亡以前に死亡しているので、当然相続できないが、Gの実子Iと、Hの実子J・Kは、代襲相続することができる。ただ、代襲相続者の相続分は、被代襲者が受けるべきであった部分について、法定相続分に従って相続される。したがって、Gの本来の相続分である1/4=15万円がIに相続され、Hの本来の相続分である1/4=15万円をJとKが相続することになるので、JとKがそれぞれ承継するのは7.5万円ずつである。以上より、Fは30万円、Iは15万円、Jは7.5万円、Kは7.5万円の滞納管理費を承継する。
*民法901条1項

4 正しい。実母Lは第二順位の相続人であり、兄Mは第三順位の相続人であるが、Mは第二順位の相続人がいるため相続することはできない。したがって、Lが滞納管理費60万円全額を承継する。
*民法900条1項2号


【解法のポイント】この問題は、相続の事例問題としては、非常に基本的なものだったと思いますが、正解肢の肢3は意外に間違いやすい問題なので、注意して下さい。