下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成25年 問16

【動画解説】法律 辻説法

【問 16】 Aは、その所有する甲マンション1階の店舗部分(101号室)について、借地借家法が定める定期建物賃貸借の契約をすることとし、平成15年4月1日、Bに対して、期間を10年とし、契約の更新がないこととする旨を定めて賃貸し、引き渡した。この場合における次の記述のうち、借地借家法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 Aが、Bとの建物賃貸借契約を公正証書以外の書面によって締結した場合、Aは、期間満了の際、借地借家法の定める正当の事由があると認められる場合でなければ、賃貸借契約の更新を拒絶することができない。

2 Aが、Bとの建物賃貸借契約に先立ち、Bに対し、当該建物賃貸借は更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明をしなかった場合、Aは、期間満了の際、借地借家法の定める正当の事由があると認められる場合でなければ、賃貸借契約の更新を拒絶することができない。

3 Aが、Bに対し、平成24年12月1日に期間満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしたときは、平成25年5月31日を経過するまでAは契約の終了をBに主張することができない。

4 Bは、建物賃貸借契約において、期間中の解約ができるという特約をしないかぎり、解約の申入れをすることはできない。

【解答及び解説】

【問 16】 正解 1

1 誤り。定期建物賃貸借は、公正証書による「等」書面によって契約をすればよく、公正証書以外の書面によっても締結することができる。
*借地借家法38条1項

2 正しい。定期建物賃貸借を締結するときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。この説明がない場合は、通常の建物賃貸借となり、正当事由がなければ更新を拒絶できない。
*借地借家法38条3項・5項

3 正しい。定期建物賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。しかし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過した後は、賃貸借の終了を対抗できる。本肢では、終了の6月前までに通知できていないが、平成24年12月1日に通知しているので、平成25年5月31日を経過するまでAは契約の終了をBに主張することができないが、それ以降は主張することができる。
*借地借家法38条6項

4 正しい。定期建物賃貸借は、基本的に契約期間中の解約は、特約がない限りすることができない。「居住用」建物について、一定の場合に途中解約を認める規定があるが、本問の101号室は「店舗部分」とあるので、特約がなければ途中解約できない。
*借地借家法38条7項


【解法のポイント】この問題は、肢1が確実に「×」なので、正解は導けたと思いますが、肢4は、ひょっとしたら迷った人もいるのではないかと思います。問題文の「店舗部分」という部分に気が付いたかどうかです。