下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成25年 問6

【問 6】 マンション分譲会社Aは、マンションの分譲に際し、専有部分の区分所有権及び敷地の共有持分とは別に、一部の区分所有者Bらに、マンションの敷地の一部に設けられた駐車場の専用使用権を分譲し、その代金を受領した。Bらは、所定の駐車場使用料を管理組合Cに毎月支払い、駐車場を専用使用してきたが、Cは、集会決議により規約を変更した上で駐車場使用料を増額する旨の決議をした。ところがBらはこれに応じなかった。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、適切なものはどれか。

1 Cが、規約を変更した上で駐車場使用料を増額したことは、一般的にBらに不利益を及ぼすものであるから、Bらの承諾を得ない限り、許されない。

2 Bらが訴訟において駐車場使用料増額の効力を争っているような場合に、Cが、Bらの駐車場使用料の増額分の不払を理由に駐車場使用契約を解除し、Bらの駐車場の専用使用権を失わせることは、契約の解除を相当とするに足りる特段の事情がない限り、許されない。

3 AがBらにマンションの敷地の一部に設けられた駐車場の専用使用権を分譲する売買契約は、公序良俗に反するものであるから、無効である。

4 Aは、区分所有者全員の委任により、Bらに駐車場の専用使用権を分譲したものであるから、Cは、Aに対して、委任事務処理上の金員引渡請求権に基づき、AがBらから受領した専用使用権の分譲代金の引渡しを請求することができる。

【解答及び解説】

【問 6】 正解 2

1 不適切。規約の設定、変更又は廃止について、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならないが、駐車場使用料の増額の必要性及び合理性が認められ、かつ、増額された使用料が区分所有関係において社会通念上相当な額であると認められる場合には、使用料の増額に関する規約の設定等は、特別の影響を及ばすものではない。
*区分所有法31条1項

2 適切。Bらの専用使用権は、あくまでマンション分譲会社Aとの分譲契約によって取得したものであり、Cが駐車場使用契約を解除することは許されない。

3 不適切。マンションの分譲契約の内容として駐車場専用使用権の設定に関する特約がある場合には一部の区分所有者に専用使用権を分譲することも可能と考えられ、公序良俗違反とまではいえない。

4 不適切。Aが、Bらに専用使用権を分譲したのは、区分所有者全員の委任によるものとはいえないので、委任事務処理上の金員引渡請求権に基づいて、AがBらから受領した専用使用権の分譲代金の引渡しを請求することはできない。


【解法のポイント】この問題は、微妙な問題の肢が多く、判断が難しいものだったと思いますが、正解肢の肢2だけは比較的分かりやすかったと思います。