下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成25年 問2

【問 2】 甲マンションの区分所有者Aが管理者Bを誹謗中傷する内容の文書を貼付・配布する等の行為を行い、当該行為が名誉毀損に当たる場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Aの行為によって名誉を毀損されたB個人は、Aに対して、名誉毀損による損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復する措置を講ずることを請求することができる。

2 Aの行為によって甲マンションの正常な管理又は使用が阻害される等当該行為が区分所有法第6条第1項の共同の利益に反する行為に該当する場合は、A以外の他の区分所有者の全員は、Aに対して、当該行為の停止を求めることができる。

3 Aの行為が甲マンションの管理組合(区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。以下同じ。)の規約に違反する行為である場合は、管理者Bは、Aに対して、規約の定めにより行為の差止め及び管理組合が被った損害の賠償を請求することができる。

4 Aの行為が区分所有法第6条第1項の共同の利益に反する行為に該当し、A以外の他の区分所有者の全員がAの行為の停止を請求することができる場合は、B個人は、Aに対して、名誉毀損による損害の賠償を請求することができない。

【解答及び解説】

【問 2】 正解 4

1 正しい。他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。
*民法723条

2 正しい。区分所有者が共同の利益に反する行為をした場合には、他の区分所有者の全員は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止するため必要な措置を執ることを請求することができる。
*区分所有法57条1項

3 正しい。管理者は、規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負うので、規約違反の行為に対して、行為の差止め及び管理組合が被った損害の賠償請求について規約が定められているのであれば、当該請求をすることができる。
*区分所有法26条1項

4 誤り。B自身は、Aによって誹謗中傷されており、通常の不法行為が成立するので、Bは、Aに対して、名誉毀損による損害の賠償を請求することができる。
*民法709条


【解法のポイント】この問題は、肢1~肢3に悩む部分があったとしても、肢4が正解であることは簡単に分かったと思います。