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マンション管理士 過去問解説 平成24年 問34

【問 34】 管理組合及び管理組合法人の諸税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、「収益事業」とは法人税法第2条第13号及び同施行令第5条第1項に規定されている事業を継続して事業場を設けて行うものをいう。

1 収益事業を行っている管理組合においては、法人税申告のためには区分経理を行う必要があるため、収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用又は損失の額は、継続的に、合理的な基準により収益事業と収益事業以外の事業とに配賦し、これに基づき経理することとされている。

2 収益事業を行っていない管理組合及び管理組合法人においては、法人税の申告義務はないが、法人住民税(都道府県民税と市町村民税)の均等割額は収益事業を行っていない場合でも課税される。

3 収益事業を行っている管理組合及び管理組合法人においては、収益事業から得た所得が1,000万円を超えていない場合は課税事業者に該当しないので、法人税の申告義務はない。

4 区分所有者の駐車場使用希望者がいないため、マンション内の駐車場の一部を空き駐車場の状態にしておく予定でいた管理組合においては、近隣で道路工事を行っている土木業者からの申し出に応じ、工事期間(2週間)に限定して駐車場を賃貸した場合でも、当該管理組合が行う駐車場使用の全体が収益事業に該当する。

【解答及び解説】

【問 34】 正解 1

1 正しい。管理組合は、法人税法上「人格のない団体」として扱われるが、人格のない社団等は、収益事業から生ずる所得に関する経理と収益事業以外の事業から生ずる所得に関する経理とを区分して行わなければならない。そして、収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用又は損失の額は、継続的に、資産の使用割合、従業員の従事割合、資産の帳簿価額の比、収入金額の比その他当該費用又は損失の性質に応ずる合理的な基準により収益事業と収益事業以外の事業とに配賦し、これに基づいて経理する。
*法人税法施行令6条、基本通達・法人税法

2 誤り。収益事業を行っていない管理組合及び管理組合法人においては、法人税の申告義務はないという点は正しいが、法人地方税には都道府県民税と市区町村民税とがあり、法人、非法人にかかわらず、 均等割は原則として課税されることになっているが、法人割は非収益事業の所得に対しては非課税となる。
*地方税法24条5項、294条7項

3 誤り。収益事業を行っている管理組合及び管理組合法人においては、法人税の申告義務があり、収益事業から得た所得が1,000万円を超えていない場合に申告義務がないというような規定はない。

4 誤り。本肢のような管理組合が行う外部使用については、管理業務の一環として行われている区分所有者に対する駐車場使用に付随して行われる行為であることから、この外部使用を含めた管理組合が行う駐車場使用の全体が収益事業には「該当しない」ものと解して差し支えない。
*国住マ第43号 平成24年2月3日