下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成24年 問28

【問 28】 規約で小鳥・鑑賞用魚類以外の動物の飼育を禁止しているマンションにおいて、区分所有者Aから専有部分を賃借しているBが、室内で体長約65cmの雑種犬2匹を飼育し、敷地内で犬を散歩させて通行人に吠えかかって恐怖感を与えたり、抜け毛や悪臭を発生させたりする等居住者に多大の迷惑をかけている。この場合において、管理組合としてとり得る措置に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。

1 理事長は、理事会の決議を経れば、規約に違反しているとして、Bに対し、犬の飼育を止めるよう勧告することも、犬の飼育の差止めを裁判所に請求することもできる。

2 理事長は、Bの犬の飼育行為が再三の注意勧告にもかかわらず止まないため、区分所有者の共同の利益に反する行為に当たるとして、総会の決議に基づき、その差止めを裁判所に請求することができる。

3 理事長は、Aに対し、規約を遵守して犬の飼育を止めるようBに働きかけをするよう要請したが、これにAが従わない場合にはA自身の規約違反行為の責任を追及することができる。

4 管理組合は、Bの犬の飼育状況を確認するため、Bに対し専有部分内への立入りを請求することができ、Bは、正当な理由がない限りこれを拒否することができない。

【解答及び解説】

【問 28】 正解 4

1 適切。専有部分の貸与を受けた者が、規約に違反したとき、理事長は、理事会の決議を経て、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができるだけでなく、行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。
*標準管理規約67条1項・3項

2 適切。占有者が共同の利益に反する行為をした場合には、管理者は、その行為を停止するため必要な措置を執ることを請求することができる。そして、この訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
*区分所有法57条2項

3 適切。区分所有者は、その所有する専有部分の貸与を受けた者が規約違反を行った場合には、その是正等のため必要な措置を講じなければならない。この措置を講じなかった場合は、A自身の規約違反行為ということになり、責任を追及されることになる。
*標準管理規約67条2項

4 不適切。敷地及び共用部分等の管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求することができる。そして、立入りを請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。犬の飼育状況の確認は、敷地及び共用部分等の管理とはいえず、立入りを請求することはできない。
*標準管理規約23条1項・2項