下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
マンション管理士 過去問解説 平成24年 問26
【問 26】 甲マンションの301号室は、区分所有者Aが賃借人Bに賃貸し、Bから転借人Cに転貸されている。この場合におけるCの共同利益背反行為に対する管理者の区分所有法第60条の規定に基づく契約の解除及び301号室の引渡しを請求する訴訟に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
1 訴えを提起する集会の決議の前に弁明の機会を付与しなければならないが、その弁明の機会は、Aに対して与えなければならない。
2 契約の解除の請求は、A・B間の賃貸借契約及びB・C間の転貸借契約を対象として契約解除の訴えを提起すべきである。
3 勝訴判決の結果、301号室の引渡しを受けた管理者は、遅滞なく、301号室をBに引き渡さなければならない。
4 勝訴判決が確定した後、Cが共同利益背反行為を中止した場合は、Cは、301号室を引き渡す必要はない。
【解答及び解説】
【問 26】 正解 3
1 誤り。占有者に対する引渡し請求の決議をするには、あらかじめ、弁明する機会を与えなければならないが、その弁明の機会は、占有者に対して弁明の機会を与えれば足り、当該専有部分の区分所有者に対して弁明の機会を与えることを要しない(判例)。
*区分所有法60条2項、最判昭62.7.17
2 誤り。占有者に対する引渡し請求は、義務違反者である占有者を排除するために行うものであるから、B・C間の転貸借契約のみを対象として契約解除の訴えを提起すればよい。
*区分所有法60条1項
3 正しい。占有者に対する引渡し請求による判決に基づき専有部分の引渡しを受けた者は、遅滞なく、その専有部分を占有する権原を有する者にこれを引き渡さなければならない。そして、判決により契約が解除されるのは、BC間の転貸借契約であるから、専有部分を占有する権原を有する者はBとなる。
*区分所有法60条3項
4 誤り。勝訴判決が確定した後に、Cが共同利益背反行為を中止したとしても、判決の効力は生じており、Cは、301号室を引き渡さなければならない。
*区分所有法60条