下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成24年 問25

【問 25】 「機械式駐車場の一部撤去に関する件」という議題で招集された集会における区分所有者の次の発言のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、機械式駐車場は区分所有者全員の共有に属するものとする。

1 議題は、通知されていますが、議案の要領は、本日、会場で出席者に配付され事前に通知されていません。各区分所有者は、会議の目的たる事項についてあらかじめその内容を知り検討したうえで、集会に出席したり、又は書面により議決権を行使したりすることができませんので、決議しても無効です。

2 撤去対象になっている駐車場はパレット毎に専用使用権が設定され分譲時に対価を支払っており、分譲時からあまり時間が経過していないので、その清算を行うことなく撤去を求めることは専用使用権を有する区分所有者に特別の影響を及ぼすこととなります。影響を受ける区分所有者が同意していない限り決議しても無効です。

3 議案の要領の内容には、機械式駐車場に隣接する別の附属施設であるバイク置場の撤去も盛り込まれていますが、それにもかかわらず、議題として通知されていません。本来別の議題とすべきで、それを含めて集会で決議することはできません。

4 機械式駐車場及びバイク置場は、区分所有者全員の共有に属する附属施設なので、その撤去を行い更地にする場合は、共有物の処分行為に当たります。したがって、撤去については、区分所有者全員の同意がない限り、実施することはできません。

【解答及び解説】

【問 25】 正解 4

1 正しい。機械式駐車場の一部撤去は、その形状又は効用の著しい変更を伴う共用部分の変更であるが、集会の招集の通知をする場合において、会議の目的たる事項が共用部分の変更であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。この議案の要領が通知されていない集会における決議は無効である。
*区分所有法35条5項

2 正しい。規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならないが、本肢の区分所有者は、区分所有者にとって不利益が区分所有者の受忍すべき限度を超える。
*区分所有法31条1項

3 正しい。バイク置場は、機械式駐車場とは別の附属施設である以上、その撤去については招集通知で通知しておく必要があるので、集会で決議することはできない。
*区分所有法37条1項

4 誤り。機械式駐車場及びバイク置場の撤去を行い更地にする場合は、共有物の「変更」行為になる。したがって、撤去については、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決すればよい。
*区分所有法17条1項