下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成24年 問14

【動画解説】法律 辻説法

【問 14】 Aは、Bに対して、令和2年4月1日に、契約不適合責任に関し、買主が売主に対して契約不適合を通知すべき期間を引渡しの日から1年間とする特約をして中古マンションの一室を売却し、同年5月1日にこれを引き渡した後、Bが浴室設備に契約不適合を発見した場合におけるAの契約不適合責任に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aが宅地建物取引業者でない場合、Bが令和3年5月10日に契約不適合を発見し、同月20日にAに対して契約不適合の存在を通知したうえ、令和3年6月10日にAに対して損害賠償請求をすれば、Aは契約不適合責任を免れない。

2 Aが宅地建物取引業者でなく契約不適合の存在を知りながらBに告げなかった場合、Bが令和2年5月10日に契約不適合を発見し、令和3年6月10日にAに対して契約不適合を通知して損害賠償請求をすれば、Aは契約不適合責任を免れない。

3 Aが宅地建物取引業者である場合、Bが令和3年5月10日に契約不適合を発見し、令和3年6月10日にAに対して契約不適合があったことを通知すれば、Aは契約不適合責任を免れない。

4 Aが宅地建物取引業者である場合、Bが令和12年5月10日に契約不適合を発見し、令和12年6月10日にAに対して損害賠償請求をすれば、Aは契約不適合責任を免れない。

【解答及び解説】

【問 14】 正解 2及び3

1 誤り。契約不適合責任の規定は、当事者が特約により変更することができるので、買主が売主に対して契約不適合を通知すべき期間を引渡しの日から1年間とする特約も有効であるから、引渡しから1年以上経過した後に契約不適合を通知したとしても契約不適合責任を負う必要はない。
*民法572条

2 正しい。契約不適合責任に関する特約を結んだとしても、売主が契約不適合の存在を知って告げなかった場合は、その特約は無効である。したがって、その場合売主は、民法の原則どおりの責任を負うので、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならないはずである。しかし、この通知期間の規定は売主が悪意の場合には適用されないので、契約不適合を知ってから1年以上経過してから通知しても、損害賠償を請求することができる。
*民法566条

3 正しい。売主が宅地建物取引業者で、買主が宅地建物取引業者でない場合、契約不適合責任に関し、買主が売主に対して契約不適合を通知すべき期間を引渡しの日から2年以上とする特約は認められるが、引渡しから1年間とする特約は認められず、当該特約は無効となり、民法の原則どおり、売主は買主が契約不適合を知ってから1年以内にその旨を売主に通知したときは、契約不適合責任を負わなければならない。したがって、本肢ではBが契約不適合を知ってから1年以内にその旨を通知しているので、Aは契約不適合責任を免れない。
*宅地建物取引業法40条

4 誤り。売主が宅地建物取引業者で、買主が宅地建物取引業者でない場合、買主が売主に対して契約不適合を通知すべき期間を引渡しの日から2年以上とする特約は認められるが、引渡しから1年間とする特約は認められず、当該特約は無効となり、民法の原則どおり、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知すれば、売主は契約不適合責任を負わなければならない。しかし、本肢では引渡しから10年以上経過しており、契約不適合責任による損害賠償請求権は時効により消滅している(判例)。
*民法166条1項2号

【【解法のポイント】】本問は、法改正の関係で、正解が二つになっています。