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マンション管理士 過去問解説 平成23年 問33

【問 33】 住居・店舗併用のマンションにおける店舗の営業時間の制限と住宅一部共用部分であるエレベーターの更新を決議する総会の場に、理事会の要請により出席していたマンション管理士が、議長である理事長からの求めに応じて助言した次の記述のうち、マンション標準管理規約(複合用途型)の規定によれば、適切でないものはどれか。

1 区分所有者から専有部分を賃借して営業をしている賃借人が、事前の通知もなく総会に出席して店舗の営業時間の制限について、意見を述べようとしたので、「事前の通知がない以上、意見を述べさせる必要はありません。もちろん決議に加わることもできません。」と助言した。

2 数人の共有に属している店舗につき、あらかじめ届け出があった議決権行使者以外の共有者が店舗の営業時間を制限する議案について議決権を行使したので、「共有者である以上、有効な議決権の行使として取り扱ってください。」と助言した。

3 住戸の区分所有者から、住宅一部共用部分であるエレベーターの更新については、住戸部分の区分所有者のみで構成する団体の集会で決議すべきではないかと意見があったので、「当該エレベーターについては、規約の対象となる物件となっているので、当総会で決議することとなります。」と助言した。

4 総会の場において、ある区分所有者から、住宅一部共用部分であるエレベーターの利用細則が利用の実態に合っていないとして、改正案を提示して同案を決議するよう求められたので、「あらかじめ招集通知で通知していた事項ではないので、決議はしないでください。」と助言した。

【解答及び解説】

【問 33】 正解 2

1 適切。区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。したがって、事前の通知がない以上、意見を述べさせる必要はない。なお、占有者は議決権がなく、決議に加わることはできないという点も正しい。
*標準管理規約複合用途型49条2項

2 不適切。住戸又は店舗1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者はあわせて一の組合員とみなされ、この一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。したがって、届出のない共有者に議決権を認める必要はない。
*標準管理規約複合用途型50条3項

3 適切。この規約は、区分所有者全員の共有物である敷地、全体共用部分及び附属施設のほか、一部の区分所有者の共有物である一部共用部分についても全体で一元的に管理するものとし、管理組合は全体のものを規定し、一部管理組合は特に規定していない。したがって、住宅一部共用部分であるエレベーターの更新であっても、当該総会で決議することができる。
*標準管理規約複合用途型 全般関係コメント⑤

4 適切。総会においては、招集通知であらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができるので、当該エレベーターの利用細則の改正案は決議することはできない。
*標準管理規約複合用途型51条11項