下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成23年 問32

【問 32】 管理費等を滞納している区分所有者に対する管理組合の対応について、理事長が総会で行った次の説明等のうち、標準管理規約、区分所有法及び民法の規定によれば、適切なものはどれか。

1 滞納している区分所有者が所有している住戸が賃貸に供されている場合には、その住戸の賃借人に対して、直接、滞納管理費等を請求することとします。

2 理事会決議により、理事長が、管理組合を代表して、滞納管理費等の請求に関して滞納者に対して少額訴訟を提起したので、その状況、当該滞納者の氏名に代わる符号、その滞納額、滞納状況等を報告します。

3 管理費等の滞納は、共同の利益に反する行為に該当するので、滞納しているすべての区分所有者に対して、区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することとします。

4 現に駐車場を使用している滞納者に対しては、駐車場使用細則を改正し管理費等の滞納があれば駐車場使用契約を解除できるという条項を新たに設け、駐車場使用期間中であっても駐車場使用契約を解除することとします。

【解答及び解説】

【問 32】 正解 2

1 不適切。各共有者(区分所有者)は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じるが、賃借人は共用部分の負担はなく、管理費の支払義務を負わない。
*区分所有法19条

2 適切。区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、理事長は、理事会の決議を経て、敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金の請求に関し、区分所有者のために、訴訟において原告又は被告となることができる。
*標準管理規約67条3項2号

3 不適切。区分所有者が共同の利益に反する行為をする場合において、区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができるが、管理費の滞納というだけでは、この要件を満たさない。
*区分所有法59条1項

4 不適切。駐車場使用細則、駐車場使用契約等に、管理費、修繕積立金の滞納等の規約違反の場合は、契約を解除できるか又は次回の選定時の参加資格をはく奪することができる旨の規定を定めることもできる。使用細則の変更によって、すでに駐車場を使用している滞納者に対して駐車場使用契約を解除することまではできない。
*標準管理規約15条関係コメント⑥