下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成23年 問14

【動画解説】法律 辻説法

【問 14】 甲マンションの202号室の区分所有者Aは、202号室(Aが専用使用権を有するベランダを含む。)をBに賃貸している。B宅を訪れたBの知人Cが、ベランダの手すりにつかまったところ、手すりと一緒に落下して負傷した。手すりの落下の原因は、ベランダの留め金部分の支持力の不足によるものであった。この場合の損害賠償責任に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 Aは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたことを証明できなければ、土地工作物の占有者としての損害賠償責任を負う。

2 Bは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたことを証明できなければ、土地工作物の占有者としての損害賠償責任を負う。

3 甲マンションの管理組合は、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたことを証明できたときは、土地工作物の所有者に代わって損害賠償責任を負う。

4 甲マンションの区分所有者全員は、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたことを証明できたときは、土地工作物の所有者としての損害賠償責任を負う。

【解答及び解説】

【問 14】 正解 3

1 正しい。ベランダは共用部分であるが、Aの専用使用権が設定されているので、Aは共用部分の占有者ということになる。また、AはBに対して賃貸しているので、Bがこのベランダを直接占有し、Aが間接占有している形になっている。そして、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときを除いて、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。
*民法717条1項

2 正しい。土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときを除いて、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。
*民法717条1項

3 誤り。土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならないので、共用部分の共有者である区分所有者全員が所有者として損害賠償責任を負う。
*民法717条1項

4 正しい。土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならないので、共用部分の共有者である区分所有者全員が所有者として損害賠償責任を負う。
*民法717条1項


【解法のポイント】本問もなかなかの難問だったと思います。ベランダは専用使用権が設定されているので、解説に書きましたように、所有者=共用部分で区分所有者全員、直接占有者=B、間接占有者=Aというのが分かるかどうかで、これに気が付かなかった人は、答えが2つも、3つも出たりしたのではないですか。