下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
マンション管理士 過去問解説 平成23年 問12
【問 12】 甲マンション(管理者A)の1室は、マンション業者BからCに分譲され、1年後、Dに転売された。Dは譲受後すぐに入居したが、その際、BからCへの分譲時にすでに存在していた契約不適合を発見した。この場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 その契約不適合が共用部分にあるか、専有部分にあるか不明であるときは、共用部分にあるものと推定して、AがBに対して契約不適合責任を追及することとなる。
2 その契約不適合が専有部分にあるときは、DはCに対し、CはBに対し、契約不適合責任を追及することとなる。
3 Dは、Cの特定承継人として、直接、Bに対し契約不適合責任を追及することはできない。
4 その契約不適合が共用部分にあるときでも、Aは、法律上当然には、Cを代理して、Bに対して契約不適合責任を追及することができない。
【解答及び解説】
【問 12】 正解 1
1 誤り。契約不適合責任は買主が売主に対して追及するので、Bに対して契約不適合責任を追及するのは、Cということになる。他方、管理者は、共用部分の保存に関して「区分所有者」を代理するが、当該専有部分はDに転売されている以上、Dが区分所有者ということになるので、管理者AがBに対して契約不適合責任を追及することはできない。
*区分所有法26条2項
2 正しい。売買の目的物に契約不適合があったときは、買主は契約不適合責任を追及することができるが、この「契約不適合」というのは、契約成立の前後を区別せず、引渡し時までに生じたものであればよいとされており、BからCへの分譲時にすでに契約不適合が存在していたわけであるから、DはCに対し、CはBに対し、契約不適合責任を追及することとなる。
*民法562条等
3 正しい。契約不適合責任は、売買契約の買主が売主に対して追及するものであり、売主の前主に対して直接、契約不適合責任を追及することはできない。
*民法562条等
4 正しい。契約不適合責任は買主が売主に対して追及するので、Bに対して契約不適合責任を追及するのは、Cということになる。他方、管理者は、共用部分の保存に関して「区分所有者」を代理するが、当該専有部分はDに転売されている以上、Dが区分所有者ということになるので、管理者Aは、個別に代理権の授与がないのに、法律上当然に、Cを代理してBに対して契約不適合責任を追及することはできない。
*区分所有法26条2項
【解法のポイント】これは何となく正解は出せても、法律的な根拠を説明していくのは難しいので、その意味では難問だったと思います。解説を参照して下さい。