下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成23年 問7

【動画解説】法律 辻説法

【問 7】 震災によるマンションの修繕工事が予算を大幅にオーバーし多額の債務を負担することとなった管理組合法人の理事会でのA~Dの各理事の次の発言のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。

1 A理事「大変なことになりましたね。ただ、管理組合法人の場合は、法人としての責任ということになりますから、管理組合法人の総資産の有限責任の範囲での債務の負担ということになるでしょう。」

2 B理事「いいえ、もし管理組合法人の総資産でも弁済額に足りない場合には、我々区分所有者の個人財産をもって、専有部分の床面積の割合で分割された責任範囲で負担しなければならないですよ。」

3 C理事「いやいや、管理組合法人の場合は、総資産でも弁済額に足りない場合には、管理組合法人の解散ということになると思います。その場合は、区分所有者全員が連帯して債務を負担することになりますよ。」

4 D理事「結論には時間がかかりそうですね。私は、近々、専有部分を売って引っ越しすることが決まっています。買受人には、十分伝えておきますので、もし、区分所有者が負担すると決まっても、その時は区分所有者ではないはずの私には責任はありません。」

【解答及び解説】

【問 7】 正解 2

1 誤り。管理組合法人の財産をもってその債務を完済することができないときは、区分所有者は、原則として専有部分の床面積の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。したがって、法人だけでなく、区分所有者も責任を負うことになる。
*区分所有法53条1項

2 正しい。管理組合法人の財産をもってその債務を完済することができないときは、区分所有者は、原則として専有部分の床面積の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。
*区分所有法53条1項

3 誤り。管理組合法人の解散事由は、1.建物の全部の滅失、2.建物に専有部分がなくなったこと、3.集会の決議の3つであり、債務超過のような理由は解散事由とはならない。
*区分所有法55条1項

4 誤り。区分所有者の特定承継人は、その承継前に生じた管理組合法人の債務についても、その区分所有者が負う責任と同一の責任を負う。しかし、この規定は譲渡人の責任を免除するものではないので、特定承継人とともに譲渡人も併存して責任を負う。
*区分所有法54条


【解法のポイント】区分所有法の条文を押さえていれば対応できた問題ですが、管理組合法人に関する規定は、手薄になりやすいので、しっかり勉強しておいて下さい。