下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成22年 問17

【動画解説】法律 辻説法

【問 17】 マンション(管理組合甲)のA所有の301号室をBが賃借し居住している場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Bが、ベランダから誤って物干し竿を落下させ、荷物を配送中の宅配業者の従業員に怪我をさせた場合、B及び甲は、怪我をした宅配業者の従業員に対して損害賠償責任を負う。

2 301号室のベランダの外壁タイルが経年劣化によりはがれ落ちて、通行人が怪我をした場合、マンションの区分所有者全員が怪我をした通行人に対して損害賠償責任を負い、Bが責任を負うことはない。

3 Bが、Bの洗濯機の排水ホースの締付けが不十分で外れたことに気がつかず洗濯し、床に水をあふれさせ、階下の201号室の区分所有者に損害を与えた場合、Aのみが、201号室の区分所有者に対して損害賠償責任を負う。

4 401号室の居住者が洗面所の水をあふれさせ、階下の301号室の天井の仕上げ部分及びBの家財に損害を与えた場合、401号室の居住者は、甲及びBに対して損害賠償責任を負うが、Aに対しては負わない。

【解答及び解説】

【問 17】 正解 2

1 誤り。ベランダから物干し竿を落下させたのは、Bの過失であるから、Bは損害賠償責任を負うが、甲管理組合が損害賠償責任を負うことはない。
*民法709条

2 正しい。建物の設置又は保存に瑕疵がある場合、民法の工作物責任の規定により、第一次的に占有者、第二次的に所有者が責任を負うことになる。そして、占有者の責任は過失責任であるが、本問ではベランダの外壁タイルが経年劣化によりはがれ落ちていることから、占有者に過失はないものと認められる。したがって、マンションの区分所有者全員が怪我をした通行人に対して損害賠償責任を負い、占有者であるBが責任を負うことはない。
*区分所有法9条参照

3 誤り。201号室への水漏れは、Bの洗濯機の排水ホースの締付けが不十分であるという過失によって生じたものであるから、「Bのみ」が201号室の区分所有者に対して損害賠償責任を負う。
*民法709条

4 誤り。本問は、401号室の居住者の過失による不法行為について、誰が損害を負うかである。甲管理組合に対する損害は微妙であるが、301号室の天井「仕上げ」部分に損害を与えたと問題文にある以上、共用部分である躯体には影響がないものと認められるので、甲管理組合には損害がない。次に、301号室の天井仕上げ部分について損害が出ているので、Aに損害があり、またBの家財にも損害があるので、Bも損害を受けている。したがって、401号室の居住者は、Aに対しても損害賠償責任を負う。
*民法709条