下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成22年 問7

【動画解説】法律 辻説法

【問 7】 滞納管理費の消滅時効に係る次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

1 長期にわたり管理費を滞納している区分所有者に対して、管理組合が月々累積する滞納額全額について、毎月、内容証明郵便をもって支払の請求をしている場合には、滞納管理費に係る債権が時効により消滅することはない。

2 管理規約の規定に基づいて区分所有者に対して発生し、その具体的な額は総会の決議によって確定し、月ごとに支払われるものである管理費に係る債権は、定期金債権として、各債権を行使することができることを知った時から10年間行使しないときは、時効により消滅する。

3 管理組合が管理費を滞納している区分所有者に対して滞納管理費を請求する訴訟を提起して勝訴した場合には、滞納管理費に係る債権は、確定判決の時より新たに従前と同様5年の消滅時効期間が進行する。

4 管理費を滞納している区分所有者が「滞納管理費支払合意書」により、滞納管理費全額を分割して毎月定額で支払うことを管理組合と合意した場合、そのことによる時効の更新の効力は、区分所有権を譲り受けた特定承継人に及ぶ。

【解答及び解説】

【問 7】 正解 4

1 誤り。内容証明郵便をもって支払の請求をすることは、「催告」ということになるが、催告があったときは、その時から6ヶ月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。ただ、催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、時効の完成猶予の効力を有しない。したがって、毎月催告していても、時効消滅を防ぐことはできない。
*民法150条2項

2 誤り。管理費に係る債権は、定期金債権(基本権)ではなく、定期給付債権(支分権)に該当し、その消滅時効期間は通常5年である。
*民法166条1項

3 誤り。確定判決によって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、「10年」とする。
*民法169条1項

4 正しい。時効の更新は、その更新の事由が生じた当事者及びその「承継人」の間においてのみ、その効力を有する。したがって、区分所有者の特定承継人に対しても時効の更新の効力が及ぶ。
*民法153条