下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成21年 問15

【動画解説】法律 辻説法

【問 15】 建設業者Aが建築した甲マンションの1室を買ったBが、共用部分であるエレベーターの瑕疵により負傷事故にあった場合における次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

1 Bから区分所有者全員に対して設置の瑕疵を理由に損害賠償請求があった場合、区分所有者全員は、当該瑕疵の原因がAの施工上の故意に起因することを証明したときは、Bに対する損害賠償義務を免れることができる。

2 当該事故が共用部分から発生したものなので、甲マンション管理組合の管理者は、管理者の職務として、Bを代理し当該事故の損害賠償を請求することができる。

3 当該瑕疵がAの被用者の過失によるものである場合においては、区分所有者全員がBに当該瑕疵の損害賠償金を支払ったときでも、区分所有者全員は、Aに対しては求償することができない。

4 当該事故がA及び当該エレベーターの保守点検業務を受託していた業者Cの共同不法行為による場合、Bは、A及びCの両者又はA若しくはCに対し、損害賠償額の全額を請求することができる。

【解答及び解説】

【問 15】 正解 4

1 誤り。土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の所有者は無過失責任を負う。したがって、エレベーターは共用部分であり、たとえAの施工上の故意に起因することを証明されたとしても、Bは区分所有者全員に対して損害賠償を請求することができる。
*民法717条1項

2 誤り。管理者は、共用部分等について生じた損害賠償金の請求及び受領について、区分所有者を代理するが、これは個々の区分所有者の代理を行うものではない。
*区分所有法26条2項

3 誤り。区分所有者全員が、無過失責任を負う結果、Bに対して損害賠償金を支払った場合であっても、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、所有者は、その者(A)に対して求償権を行使することができる。そして、原因がAの被用者の過失によるものであったとしても、Aは使用者責任を負う。
*民法717条3項、715条1項

4 正しい。数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が「連帯して」その損害を賠償する責任を負うので、BはA及びCの両者に対して損害賠償を請求することもできるし、A若しくはCの一方だけに対して請求することもできる。
*民法719条1項