下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成21年 問14

【動画解説】法律 辻説法

【問 14】 甲マンションの201号室の区分所有者Aは、Bに同室を賃貸していたが、管理費を10万円滞納したまま死亡した。Aの相続人である子C及びD(相続分は各1/2)は、遺産分割の仕方についてもめており、遺産分割手続が行われないままAの死亡後5ヵ月を経過した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。ただし、C及びDはいずれも、当該相続の放棄及び限定承認をしなかったものとする。

1 遺産分割前であっても、C及びDは、滞納管理費10万円の各1/2について支払義務を負う。

2 遺産分割前には、Bに対する賃貸人が誰になるかが決まらないので、C及びDは、それぞれ単独で賃料の各1/2を請求することができない。

3 Bは、自らに対する賃料の債権者が誰になるかについて利害関係を有しないので、家庭裁判所に遺産分割の請求をすることができない。

4 遺産分割前であっても、管理組合の管理者は、C又はDのいずれに対しても、Aの死亡後遺産分割までの間に発生した管理費の全額を請求することができる。

【解答及び解説】

【問 14】 正解 2

1 正しい。金銭債務のような可分債務が相続された場合は、遺産分割前であっても、相続のときに当然に分割されたものとなるので(判例)、C及びDは、滞納管理費10万円の各1/2について支払義務を負う。

2 誤り。不動産の賃料債権は、不動産から生じる金銭債権であるから、遺産分割前においても、共同相続人は、それぞれ相続分に応じてそれぞれ単独で請求することができる。

3 正しい。共同相続人は、被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。したがって、遺産分割を請求できるのは、共同相続人である。
*民法907条

4 正しい。Aの死亡後遺産分割までに新たに発生した管理費については、不可分債務となり、債権者は、その債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
*民法430条