下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
マンション管理士 過去問解説 平成21年 問13
【問 13】 管理組合に対し、区分所有者Aが管理費を滞納している場合の消滅時効の完成猶予及び更新に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Aが滞納管理費の支払の猶予を申し出た場合、そのことによる時効の更新は、Aの相続人にも効力が及ぶ。
2 管理者がAを被告として滞納管理費の支払を求めて訴訟を提起したが、その請求が棄却された場合、時効は更新されない。
3 管理者がAを被告として滞納管理費の支払を求めて訴訟を提起した後に、管理者とAの間で裁判上の和解が成立した場合、その和解の申入れをした時から、時効が新たに進行する。
4 管理者がAに対して申し立てていた滞納管理費の支払を求める民事調停法による調停が成立したときは、当該調停を申し立てた時に時効の完成猶予の効力が生じる。
【解答及び解説】
【問 13】 正解 3
1 正しい。支払いの猶予は、時効更新事由の「承認」に該当する。そして、時効の更新は、その更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有するので、相続人のような包括承継人にも更新の効力が及ぶ。
*民法153条
2 正しい。裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の更新の効力を生じない。この訴えの「却下」の中には、「棄却」も含まれる。
*民法147条2項
3 誤り。裁判上の請求によって完成が猶予された時効は、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、その事由が終了した時から新たにその進行を始める。したがって、裁判上の和解の場合、和解の申入れの時ではなく、和解が成立した時から新たに時効が進行する。
*民法147条2項
4 正しい。民事調停法による調停の申立ては、時効の完成猶予事由に該当するので、当該調停を申し立てた時に時効の完成猶予の効力が生じる。
*民法147条1項3号