下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成20年 問27

【問 27】 規約又は集会の決議の効力に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 近隣住民との協定に基づく電波障害防止設備の維持管理費を区分所有者が負担する旨の規約の定めを変更し、近隣住民に負担させることとする旨を規約に定めても、近隣住民に対して効力は生じない。

2 規約を改正し、管理費等の支払義務について、賃借人も区分所有者と連帯してこれを負担しなければならない旨の定めを置いても、賃借人に対する効力は生じない。

3 駐車場使用料を社会的に相当な範囲で値上げすることについて集会で決議したが、駐車場使用契約書に使用料の額が記載されている場合には、これを使用している区分所有者の承諾がなければ決議の効力は生じない。

4 広告塔を撤去し屋上を緑化することについて集会で決議したが、その広告塔設置のため屋上を賃借している第三者がいる場合には、その第三者の承諾がなければ決議の効力は生じない。

【解答及び解説】

【問 27】 正解 3

1 正しい。規約で定めることができるのは、建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する「区分所有者相互間」の事項である。規約により、区分所有者以外の者の権利を害することはできない。
*区分所有法30条1項、4項

2 正しい。占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の「使用方法」につき、区分所有者が規約に基づいて負う義務と同一の義務を負うが、管理費のような管理に関する事項については、占有者は規約の効力は受けない。
*区分所有法46条2項

3 誤り。規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならないが、この「特別の影響」について、増額された使用料が「社会通念上相当な額である場合」には、特別な影響を及ぼさないと考えられる(判例)。したがって、駐車場を使用している区分所有者の承諾がなくても決議の効力が生じる。
*区分所有法31条1項

4 正しい。集会の決議は、あくまで区分所有者に対して効力が生じるのであり、第三者の権利を害することはできないので、本肢の集会の決議は、第三者の承諾がなければ、その効力を生じない。
*区分所有法27条参照