下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成20年 問25

【問 25】 甲管理組合では、集会の決議により修繕積立金を取り崩して各戸のバルコニー防水工事を実施した。しかし、801号室については、その部屋の区分所有者Aが故なく妨害したため、当該工事を実施できないままとなり、半年後、801号室は、AからBに譲渡された。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 甲の発注した工事は終了したし、801号室を買ったのはBだから、Bは、自分の費用で個別に工事を実施する必要がある。

2 甲が未了の工事を実施する場合、甲は、個別発注で割高になった金額について、区分所有者でないAに請求できない。

3 甲は、予定していた工事費から、801号室に係る工事未了分相当額の支払いを免れたが、それを個別発注のため支出することはできない。

4 甲が未了の工事を実施した場合において、甲の請求により、Aの妨害で割高になった金額を甲に支払ったBは、当該金額をAに対して求償することができる。

【解答及び解説】

【問 25】 正解 4

1 誤り。バルコニーは共用部分であり、共用部分の管理に関する事項は、集会の決議で行わなければならない。したがって、Bが、自分の費用で個別に工事を実施することはできない。
*区分所有法18条1項

2 誤り。個別発注により割高になった金額については、甲管理組合のAに対する債権ということになるが、この債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができるが、これは前区分所有者であるAを免責するものではなく、甲管理組合は依然Aに対してもこの債権を請求することができる。
*区分所有法8条

3 誤り。甲管理組合は、集会の決議により修繕積立金を取り崩して各戸のバルコニー防水工事を実施することを決めているので、支払いを免れた工事未了分を再度発注することは差し支えない。
*区分所有法18条1項

4 正しい。Aの債務と、特定承継人Bの債務は並存し、その関係は不真正連帯債務と考えられる。したがって、甲に支払ったBは、Aに対してその金額を請求することができる。
*区分所有法8条