下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成20年 問17

【動画解説】法律 辻説法

【問 17】 甲マンションの201号室の区分所有者Aは、甲マンション管理組合が規約でペットの飼育を禁止していたにもかかわらず、同室をBに賃貸するに際してペットの飼育もできると虚偽の説明をした。このため、賃借人Bは、当該規約でペットの飼育が禁止されていることを知らないまま同室で犬を飼うに至った。この場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Bは、ペットを飼ってもよい居室として201号室をAから賃借しており、また、甲マンションの区分所有者でもないから、犬の飼育を継続することができる。

2 B飼育の犬がエレベーターを汚したため清掃費用を要した場合、甲マンション管理組合の管理者は、Aに対し、そのことによる損害賠償を請求することができるが、Bに対してはできない。

3 Aを除く甲マンションの区分所有者全員が、当該規約違反を理由に犬の飼育の停止の訴えを提起する場合、Aを被告とすることができるが、Bを被告とすることができない。

4 Bが入居後規約に従って犬の飼育を止めざるを得なくなったことによって損害が発生した場合、Bは、Aに対し、Aが虚偽の説明をしたことを理由として損害賠償を請求することができる。

【解答及び解説】

【問 17】 正解 4

1 誤り。占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うので、占有者といえども、ペット飼育のような専有部分の使用方法についての規約には拘束される。
*区分所有法46条2項

2 誤り。Bは、ペットの飼育が禁止されていることは知らされていなかったが、犬がエレベーターを汚す行為は、故意・過失で他人に損害を生じさせているので、単に不法行為であり、管理者はBに対して不法行為による損害賠償を請求することができる。
*民法709条

3 誤り。共同の利益に反する行為の停止等の訴えは、区分所有者だけでなく、占有者に対しても提起することができる。
*区分所有法57条4項

4 正しい。AB間の賃貸借契約の締結の際に、Aは虚偽の説明をしているわけであるから、債務不履行にあたり、BはAに対し損害賠償を請求することができる。
*民法415条