下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成20年 問16

【動画解説】法律 辻説法

【問 16】 マンションの取得者の担保責任の追及に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 負担の付かない贈与による501号室の取得者は、同室に権利の瑕疵があった場合において、贈与者がその権利の瑕疵を知らなかったときは、贈与者に対し、債務不履行責任を追及することができない。

2 担保権の実行として競売による502号室の取得者は、同室の権利について契約の内容に適合しないものであった場合でも、債務者である同室の前所有者に対し、担保責任を追及することができない。

3 強制競売による503号室の取得者は、同室に目的物の種類又は品質に関する契約不適合があった場合でも、同室の前所有者に対し、担保責任を追及することができない。

4 遺産分割による504号室の取得者は、同室に瑕疵があった場合、他の共同相続人に対し、その相続分に応じて、売主と同様の担保責任を追及することができる。

【解答及び解説】

【問 16】 正解 2

1 正しい。贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。したがって、贈与の目的物が特定した時点の状態で引き渡せば、瑕疵があったとしても、債務不履行の責任を問われることはない。
*民法551条1項

2 誤り。売買の目的物の「権利」が契約の内容に適合しないものである場合、担保権の実行としての競売による場合でも、担保責任を追及することができる。なお、競売の目的「物」の種類又は品質に関する不適合の場合には、担保責任を追及することができない。
*民法568条1項

3 正しい。売買の目的「物」に契約不適合があったときは、買主は契約不適合責任を追及することができるが、強制競売の場合は適用除外とされており、担保責任を追及することができない。
*民法568条4項

4 正しい。各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負うので、瑕疵がある物の取得者は、他の共同相続人に対して担保責任を追及することができる。
*民法911条