下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成20年 問12

【動画解説】法律 辻説法

【問 12】 管理組合(区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。以下同じ。)の集会における、滞納管理費等の遅延損害金の利率に関する規約の定めについての区分所有者A~Dの次の発言のうち、民法、利息制限法及び消費者契約法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 A-利息制限法が改定され、同法第7条第1項で年20%を越える利率は無効とされることになりましたね。現在の規約の利率は無効となりますので、至急に改正しなくてはなりません。

2 B-原始規約は分譲業者が作成したわけですから、消費者契約法第9条第2号の適用があると思いますよ。したがって、利率は年14.6%以下に変更すべきではないでしょうか。

3 C-消費者契約法というより、むしろ、対等の個人間の契約として利息制限法第4条第1項が適用され、同法第1条の利率の1.46倍まで許されるので年29.2%以下の利率にしておけば問題ないはずですよ。

4 D-利息制限法も消費者契約法も適用されませんよ。滞納管理費等の遅延損害金について、仮に規約で何も定めなければ、遅延損害金の利率は、民法の法定利率が適用されます。

【解答及び解説】

【問 12】 正解 4

1 誤り。「営業的金銭消費貸借上」の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が年2割を超えるときは、その超過部分について、無効とするとされているが、消費貸借ではない滞納管理費についてはこの規定は適用されない。
*利息制限法7条1項

2 誤り。原始規約は分譲業者が作成したものであっても、各区分所有者が承認している以上、「管理組合」の規約となり、規約は管理組合と区分所有者の関係を規律しているので、事業者と消費者を対象とする消費者契約法の適用はない。
*消費者契約法2条3項

3 誤り。金銭を目的とする「消費貸借上」の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が法定の利率の1.46倍を超えるときは、その超過部分について、無効とされているが、消費貸借ではない滞納管理費については、この規定は適用されない。
*利息制限法4条1項

4 正しい。滞納管理費については、利息制限法も消費者契約法も適用されない結果、民法が適用され、規約で別段の定めがなければ、その遅延損害金は法定利率による。
*民法419条1項