下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成19年 問15

【動画解説】法律 辻説法

【問 15】 甲マンションのA所有の201号室で火災が発生し、当該火災により、同室及びその直下のB所有の101号室にそれぞれ損害が生じた。この場合に関する次の記述のうち、民法及び失火ノ責任ニ関スル法律の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

1 当該火災がAの子(9歳)の火遊びによる場合において、Aに当該子の監督について軽過失があるとき、Bは、Aに対し、損害賠償を請求することができる。

2 当該火災が事業執行中におけるAの従業員の重過失による場合において、Aに当該従業員の監督について重過失がないとき、Bは、Aに対し、損害賠償を請求することができない。

3 当該火災が201号室をAから賃借している者の軽過失による場合、当該賃借人に対し、Bは損害賠償を請求することができないが、Aは債務不履行による損害賠償を請求することができる。

4 当該火災がAの行為による場合、Bは、Aの過失の程度のいかんを問わず、Aに対し、損害賠償を請求することができない。

【解答及び解説】

【問 15】 正解 3

1 誤り。失火責任法によると、失火の場合の不法行為による損害賠償責任は、軽過失では賠償責任は生じず、故意または重過失の場合にのみ責任を負えばよい。そして、責任無能力者の監督義務者の責任については、監督義務者に責任無能力者の監督について重大な過失がなかったときは、この損害賠償責任を免れるとされている(判例)。Aに当該子の監督について軽過失があるだけでは、Bは、Aに対し、損害賠償を請求することができない。
*失火責任法

2 誤り。失火責任法によると、失火の場合の不法行為による損害賠償責任は、軽過失では賠償責任は生じず、故意または重過失の場合にのみ責任を負えばよい。そして、使用者責任との関係においては、被用者の重大な過失によって火災が発生した場合、使用者は、被用者の選任・監督について重大な過失がなくても、損害賠償責任(使用者責任)を負うとされている(判例)。
*失火責任法

3 正しい。Aの賃借人は、失火責任法により重過失がなければ不法行為による損害賠償請求をBに対して負うことはない。しかし、この失火責任法は不法行為に関するものであり、債務不履行には適用がないので、Aの賃借人は、Aに対しては債務不履行による損害賠償請求を負う。
*失火責任法

4 誤り。失火責任法によると、失火の場合の不法行為による損害賠償責任は、軽過失では賠償責任は生じず、重過失の場合には責任が生じる。
*失火責任法