下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成19年 問14

【動画解説】法律 辻説法

【問 14】 Aは、甲マンションのA所有の301号室の改装工事を内装業者Bに発注し、改装工事の終了後同室をCに売却したところ、当該改装工事に契約不適合があることが判明したため、当該契約不適合についてCからAに苦情があった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、AB間及びAC間には、特約はないものとする。

1 AのBに対する当該契約不適合の修補請求権は、AC間の売買契約による301号室の所有権の移転に伴ってはCに移転しない。

2 AのBに対する当該契約不適合の損害賠償請求権は、Bの承諾を得なければ、Aは、Cに譲渡することができない。

3 AがBに対して請負代金を支払っていない場合は、Aは、AのBに対する当該契約不適合の損害賠償請求権をもって当該請負代金債権と相殺することができない。

4 当該契約不適合がAの指示によって生じたものである場合において、Bは、Aの指示が不適当なことを知っていたときでも、契約不適合責任を負うことはない。

【解答及び解説】

【問 14】 正解 1

1 正しい。請負人に対する契約不適合責任追及の権利は、注文者の地位にある者に対して認められたものであり、売買契約に伴う所有権の移転に伴って移転することはない。

2 誤り。債権は、原則として債務者の承諾を得ることなく、譲り渡すことができる。なお、当該債権譲渡を債務者に対抗するには、債務者への通知又は債務者の承諾が必要である。
*民法466条1項

3 誤り。BのAに対する請負代金の請求権と、AのBに対する損害賠償請求権はともに金銭債権であり、特に相殺禁止に該当しないので、相殺することができる。
*民法505条1項

4 誤り。請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したときは、注文者は、注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、契約不適合責任を追及することができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。
*民法636条


【解法のポイント】この問題は、請負契約の問題としては難しいものだったと思います。肢1は難しい知識ですし、肢3はちょっと考え込んだ人もいるかもしれませんし、肢4はあまり一般的な条文とはいえません。ただ、マンションでは業者に請負契約という形で建築等の工事を依頼することが多いので、よく勉強しておきなさいということでしょう。