下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成19年 問13

【動画解説】法律 辻説法

【問 13】 甲マンションの管理組合(管理者A)に対し、管理費を滞納したまま不在者となった区分所有者Bの財産に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 Bが、財産の管理人(以下この問いにおいて「財産管理人」という。)を置かなかったとき、Aは、家庭裁判所に対し、Bの財産管理人の選任を請求することができる。

2 家庭裁判所が選任したBの財産管理人は、家庭裁判所の許可を得なければ、滞納管理費をAに支払うことができない。

3 Bが住所地に戻ってきた場合は、Bの財産管理人が選任されているときでも、Aは、Bに対し、滞納管理費を請求することができる。

4 Bが失踪宣告を受けた場合は、Aは、Bの包括承継人に対し、滞納管理費を請求することができる。

【解答及び解説】

【問 13】 正解 2

1 正しい。不在者がその財産の管理人を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。したがって、管理者は利害関係人として財産管理人の選任を請求することができる。
*民法25条1項

2 誤り。財産管理人は、「権限の定めのない代理人の権限」(民法103条)を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可が必要であるが、「権限の定めのない代理人の権限」の範囲内の行為については、家庭裁判所の許可は不要である。そして、滞納管理費を支払うことは、期限の到来した債務の弁済であるから、「権限の定めのない代理人の権限」の中の保存行為に該当し、財産管理人は、家庭裁判所の許可なく、滞納管理費を支払うことができる。
*民法28条

3 正しい。財産管理人が選任されたとしても、本人の権利義務が失われるわけではないから、Aは、Bに対し、滞納管理費を請求することができる。
*民法25条1項

4 正しい。失踪宣告を受けた者はその期間が満了した時に、死亡したものとみなされるので、Aは、Bの包括承継人に対し、滞納管理費を請求することができる。
*民法31条


【解法のポイント】この問題は、不在者の財産管理と失踪宣告に関するもので、マイナーな論点に関するもので、ビックリした人も多かったと思います。しかし、肢2の「誤り」は常識的に分かるのではないかと思います。