下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成18年 問30

【問 30】 甲マンション管理組合法人は、乙銀行から融資を受けてマンションの修繕工事を実施したが、その後、甲の内部事情により、乙に対する毎月の返済を長期にわたり怠ったため、乙は、甲に対し、融資残額の一括返済を求めた。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。

1 甲が管理費、修繕積立金等として収受した金銭その他の財産(以下この問いにおいて「財産」という。)をもってその融資残額を完済することができないときは、各区分所有者は、その融資残額について共用部分の共有持分の割合で分割した弁済の責任を負う。

2 甲は、乙に対してその融資残額につき自己の財産をもって完済したときは、各区分所有者に対し、その求償をすることができない。

3 乙がその融資残額につき甲の財産に対して行った強制執行がその効を奏しなかった場合、各区分所有者は、甲に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、その融資残額の弁済の責任を免れる。

4 甲が毎月の返済を怠った後に区分所有者からその専有部分を譲り受けた者は、甲の債務に係る当該区分所有者が負うべき弁済の責任について、その責任を負うことはない。

【解答及び解説】

【問 30】 正解 4

1 正しい。管理組合法人の財産をもってその債務を完済することができないときは、区分所有者は、共用部分の共有持分の割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。
*区分所有法53条1項

2 正しい。管理組合法人において,法人が権利義務の帰属主体として第一次的にその債務を負担し、各区分所有者の責任は、補充的、二次的な責任であるから、第一次的な責任を負う甲が完済したときは、甲は各区分所有者に対して求償することはできない。
*区分所有法53条1項

3 正しい。管理組合法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合、区分所有者が管理組合法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、区分所有者はその債務の弁済の責任を免れる。
*区分所有法53条3項

4 誤り。区分所有者の特定承継人は、その承継前に生じた管理組合法人の債務についても、その区分所有者が共用部分の共有持分の割合と同一の割合で責任を負う。
*区分所有法54条