下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成18年 問15

【問 15】 Aが運転する営業用貨物自動車(Aの使用者Bの所有)とCが運転する自家用車が衝突し、Cの自家用車が甲マンションの塀を破損したことにより、100万円の損害が生じた。甲マンション管理組合の管理者Dは、事故の原因はAの一時停止違反とCの脇見運転であったとして損害賠償の請求をしようとしている。この場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Bは、Dに対して100万円の賠償をした場合、Cに対して求償することができる。

2 Cは、Dに対して100万円の賠償をした場合、Aに対して求償することはできないが、Bに対して求償することはできる。

3 Dは、A、B及びCに対して、それぞれ100万円を損害賠償金として請求することができる。

4 CD間で、Cが50万円をDに支払い、DがCに対しては残余の請求権を放棄することで和解した場合、Dは、残額の50万円について、Bに対して損害賠償の請求をすることができる。

【解答及び解説】

【問 15】 正解 2

1 正しい。AとCは共同不法行為により甲マンションに損害を与えており、Aの不法行為責任については、Bが使用者責任を負っているので、BがDに対して全額の損害賠償をした場合には、共同不法行為者のCに対して求償することができる。
*民法715条1項、719条1項

2 誤り。Aも不法行為を行っており、Cとともに共同不法行為を行っているわけであるから、Dに対して全額賠償したCは、Aに対しても求償することができる。
*民法719条1項

3 正しい。AとCは共同不法行為により甲マンションに損害を与えており、Aの不法行為責任については、Bが使用者責任を負っており、それらは連帯して責任を負わなければならないので、Dは、A、B及びCに対して、それぞれ100万円全額を損害賠償金として請求することができる。
*民法715条1項、719条1項

4 正しい。共同不法行為者間の損害賠償債務は、不真正連帯債務であると考えられている(判例)。不真正連帯債務は、弁済のような債権が満足するものは絶対効が生じるが、それ以外のものについては絶対効は生じない。したがって、CD間の和解(免除)については、A(その使用者責任としてのB)に対しては効力が生じないので、DはBに対して損害賠償の請求をすることはできる。
*民法719条1項