下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
マンション管理士 過去問解説 平成18年 問14
【問 14】 Aは、B法人所有の中古マンションの1室を購入したが、その際、Bの役員C(マンション管理担当)から管理費等の滞納の事実について説明されていなかった。このため、Aが管理組合Dから管理費等の滞納分を請求されることになった場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
1 Aが滞納管理費等の全額をDに支払った場合は、Aは、その全額について、Bに対して損害賠償を請求することができる。
2 Bの管理費等の滞納の事実を知らないことについてAに過失がない場合、Aは、Dに対する債務を免れる。
3 Cの着服によりBの管理費等の滞納が生じたものであった場合は、Aは、Bに対して損害賠償を請求することができない。
4 DのAに対する滞納管理費等に係る債権の消滅時効期間は、Aが購入してから5年間である。
【解答及び解説】
【問 14】 正解 1
1 正しい。管理費を滞納していた区分所有者の特定承継人は、その滞納管理費の支払い義務を負うが、Aは滞納の事実について説明されていなかったのであるから、その支払額の全額がAの損害といえると認められ、AはBに対して債務不履行又は不法行為に基づいて損害賠償を請求することができる。
*区分所有法8条
2 誤り。管理費を滞納していた区分所有者の特定承継人は、その滞納管理費の支払い義務を負うが、特定承継人は無過失であっても責任を負わなければならない。
*区分所有法8条
3 誤り。債務者に故意又は過失があった場合に、債権者は損害賠償を請求することができるが、この債務者の故意・過失には、履行補助者の故意・過失も含まれるので、Cの着服によりBの管理費等の滞納が生じたものであった場合でもAは、Bに対して損害賠償を請求することができる。
*民法415条
4 誤り。滞納管理費等に係る債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないときには、時効によって消滅する。したがって、その起算点は管理費の弁済期からであり、Aが購入してからではない。
*民法166条1項