下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成18年 問9

【動画解説】法律 辻説法

【問 9】 建物の価格の1/2に相当する部分が滅失した場合における当該部分の復旧に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。

1 区分所有者は、滅失した自己の専有部分の復旧の工事に着手するまでに、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議があった場合は、その専有部分の復旧の工事を行うことはできない。

2 集会において滅失した共用部分を復旧する旨の決議をする場合は、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数により決議しなければならない。

3 区分所有者は、建物の一部が滅失した日から6ヵ月以内に単独で滅失した共用部分の復旧を行った場合に限り、他の区分所有者に対して、その復旧に要した金額を、共用部分の共有持分の割合に応じて償還すべきことを請求することができる。

4 集会において減失した共用部分を復旧する旨の決議があった場合には、区分所有者は、その復旧に要する費用の支払について、裁判所に相当の期限の許与を請求することはできない。

【解答及び解説】

【問 9】 正解 4

1 誤り。建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失したときは、小規模滅失であり、各区分所有者は、滅失した「共用部分」及び「自己の専有部分」を復旧することができる。ただし、「共用部分」については、復旧の工事に着手するまでに復旧決議があったときは、この限りでないが、「自己の専有部分」については、復旧決議があっても、復旧工事を行うことができる。
*区分所有法61条1項

2 誤り。小規模滅失の場合の復旧決議は、普通決議であり、区分所有者及び議決権の過半数の集会の決議があればよい。
*区分所有法61条3項

3 誤り。小規模滅失の場合、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。そして、共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を共用部分の持分割合に応じて償還すべきことを請求することができる。この請求について6カ月以内というような制限はない。
*区分所有法61条2項

4 正しい。復旧において、償還又は買取りの請求を受けた者に対して、裁判所が期限を許与するという制度があるが、その期限の許与の制度において、小規模滅失の復旧決議があった場合の費用の支払いというのは除かれているので、本肢のような場合に裁判所に期限の許与を請求することはできない。
*区分所有法61条15項