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マンション管理士 過去問解説 平成17年 問33

【問 33】 甲マンション管理組合と管理委託契約を締結している乙管理会社の責任に関する次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書によれば、適切なものはどれか。

1 乙は、通行の妨げとなる私物を廊下に放置している甲の組合員に対して、甲に代わってその撤去を求めてもなお放置したままである場合、再度その中止を求めなければならない。

2 乙は、管理費等を滞納している甲の組合員に対し、一定期間内に、電話、自宅訪問又は督促状の方法でその支払を督促することにより、当該組合員から滞納管理費等を回収しなればならない。

3 乙は、乙の使用人が退職後に甲の組合員に関する管理費等の滞納の事実を第三者に漏らして甲に損害を与えた場合、甲に対して損害賠償責任を負う。

4 乙は、台風による停電により甲の地下駐車場の排水ポンプが作動せず車が冠水した場合、その車の所有者に対する損害賠償責任を負わない。

【解答及び解説】

【問 33】 正解 4

1 不適切。管理会社は、管理事務を行うため必要なときは、管理組合の組合員に対し、管理組合に代わって、組合員の共同の利益に反する行為の中止を求めることができるが、管理業者は、有害行為の中止を求めても、なお組合員等がその行為を中止しないときは、書面をもって管理組合にその内容を報告しなければならない。そして、この報告を行った場合、管理業者はさらなる中止要求の責務を免れるものとし、その後の中止等の要求は管理組合が行うものとする。
*標準管理委託契約書12条4項

2 不適切。管理会社は、組合員が管理費等を滞納したときは、最初の支払期限から起算して○月の間、電話若しくは自宅訪問又は督促状の方法により、その支払の督促を行う。そして、この方法により督促しても組合員がなお滞納管理費等を支払わないときは、管理会社はその業務を終了する。管理会社は、回収の義務まで負わされているわけではない。
*標準管理委託契約書別表第一1(2)②

3 不適切。管理業者は、管理業者の使用人等が、管理事務の遂行に関し、管理組合又は組合員等に損害を及ぼしたときは、管理組合又は組合員等に対し、使用者としての責任を負う。また、管理会社の従業員は、退職後も秘密保持義務を負う(標準管理委託契約書17条関係コメント)。しかし、管理会社の使用人が退職後は、管理会社との使用関係が終わっているので、元使用人の秘密保持義務違反に対しては、管理会社は使用者責任を負わない。
*標準管理委託契約書16条

4 適切。管理会社は、管理組合の組合員が、地震、台風等による損害を受けたときは、その損害を賠償する責任を負わないものとされている。
*標準管理委託契約書19条