下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成17年 問18

【問 18】 Aが甲マンション(管理組合乙)の201号室を購入し、管理費等を滞納したまま死亡した場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。ただし、Aの相続人として妻Bと成人の子Cがいるものとする。

1 B及びCは、単純承認をすれば、滞納管理費等については、それぞれ法定相続分に応じて承継する。

2 Cが乙に対して限定承認をした旨の通知をした場合でも、Bが限定承認をしていないときは、乙は、Bに対して、滞納管理費等の全額を請求しなければならない。

3 B及びCは、Aの包括承継人であり、滞納管理費等につき連帯して負担する義務があるから、乙は、B又はCに対して、その全額を請求することができる。

4 BがCに対して滞納管理費等の全額を支払うことを約した場合には、Cは、乙に対して、滞納管理費等に係る債務を負うことはない。

【解答及び解説】

【問 18】 正解 1

1 正しい。相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。したがって、B及びCは、単純承認をすれば、滞納管理費等について法定相続分に応じて承継する。
*民法920条

2 誤り。相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してしなければならないので、Cのみが限定承認することはできない。したがって、乙管理組合は、Bに対して、法定相続分に応じた滞納管理費等を請求しなければならない。
*民法923条

3 誤り。滞納管理費のような金銭債務は、法定相続分に応じて分割された債務を各共同相続人が負うことになる。
*民法899条

4 誤り。BがCに対して滞納管理費等の全額を支払うことを約することは、免責的債務引受に該当するが、このような免責的債務引受は、債務者(C)と引受人(B)となる者が契約をし、債権者(乙)が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる。したがって、乙の承諾がなければ、Cが債務を負うこともある。
*民法472条3項