下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
マンション管理士 過去問解説 平成17年 問14
【問 14】 Aが、契約期間3年間、店舗経営とする約定でBに賃貸している甲マンションの店舗部分(101号室)を解約し、又はCに売却する場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。ただし、AB間の賃貸借契約には、解約に関する特約はないものとする。
1 Aは、契約期間内に、Bに対して101号室の明渡しを求めるためには、相当の立退料を提供し、かつ、解約の申し入れに正当な理由がなければならない。
2 101号室の賃貸借契約の期間の満了後Bが同室の使用を継続している場合に、Aがこれを知りながら異議を述べなかったときは、Aは、契約期間の満了後3年を経過しなくても、Bに対して当該賃貸借契約の解約の申入れをすることができる。
3 AがCと101号室の売買契約を締結していた場合に、同室をCに売却することについて事前にBの承諾を得ていないときは、Bは、Aに対して貸主としての債務不履行による損害賠償を請求できる。
4 AがCに対して101号室を売却した場合は、Bは、Aに対して同室につき支出した有益費の償還を請求することができる。
【解答及び解説】
【問 14】 正解 2
1 誤り。期間の定めのある賃貸借においては、その期間内は貸主は賃貸する義務があり、たとえ立退料を提供し、かつ、正当な理由があっても、解約する申し入れをすることはできない。
*借地借家法26条1項参照
2 正しい。建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。ただし、その期間は、定めがないものとされているので、更新された賃貸借契約は、契約期間の満了後3年を経過しなくても、期間の定めのない賃貸借契約として解約の申入れをすることができる。ただし、この解約申し入れが認められるには、正当事由が必要となる。
*借地借家法26条2項
3 誤り。賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。このときに、賃借人の承諾は不要である。
*民法605条の2第1項
4 誤り。賃貸借の目的物が譲渡された場合の有益費償還請求の相手方は、譲受人である。したがって、BはCに対して償還請求をしなければならない。
*民法605条の2第4項
【解法のポイント】肢4は、難しい判例だと思いますが、賃借人が有益費をかけることによって、利益を受けるのは現在の所有者(つまり、賃貸借の目的物の譲受人)だということです。