下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
マンション管理士 過去問解説 平成17年 問13
【問 13】 Aは、認知症となり判断能力を欠く常況にある父親Bから何らの代理権を付与されていないのに、Bの代理人と称してB所有のマンションの一室をCに売却する売買契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 正常な判断能力を有するBの妻が当該売買契約を追認すれば、当該売買契約は、有効となる。
2 Aについて表見代理の要件が満たされていたとしても、Cは、Aに対して、無権代理人の責任を追及することができる。
3 CがBに対して相当の期間を定めてその期間内に当該売買契約を追認するか否かを確答せよと内容証明郵便で催告した場合、その期間内にBが確答しないときは、Bは、当該売買契約を追認したものとみなされる。
4 Aが、当該売買契約の締結後、Bの推定相続人全員の了解を取って、Bの実印を押したAに対する委任状を作成したときは、当該売買契約は、有効となる。
【解答及び解説】
【問 13】 正解 2
1 誤り。本問のAの行為は無権代理行為であるが、無権代理行為も判断能力のある「本人」が追認すれば有効となる。しかし、本人の妻であるからといって、妻が追認できるわけではない。
*民法113条1項
2 正しい。無権代理人の行為が、表見代理の要件を満たしていたとしても、無権代理行為であることに変わりはないわけであるから、無権代理人の責任を追及できる(判例)。
*民法117条
3 誤り。無権代理の相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、「追認を拒絶」したものとみなす。追認したものとみなされるわけではない。
*民法114条
4 誤り。本問のAの行為は無権代理行為であるが、無権代理行為も「本人」が追認すれば有効となる。しかし、Bの推定相続人には追認権はなく、推定相続人全員の了解を取ったとしても、追認にはならず、売買契約は有効にはならない。
*民法113条1項