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マンション管理士 過去問解説 平成17年 問12

【問 12】 一団地内に甲、乙及び丙の3棟の建物があり、甲及び乙は専有部分のある建物で、丙はAが所有する専有部分のない建物で全室が賃貸されている。この場合におけるこの団地内の建物の建替えに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、甲、乙及び丙の3棟が所在する土地は、団地建物所有者の共有に属しており、その共有者全員で団地管理組合(区分所有法第65条に規定する団体をいう。以下この問いについて同じ。)を構成しているものとする。

1 甲、乙及び丙の一括建替えについては、団地管理組合の集会において、団地建物所有者及び議決権の各4/5以上の多数で、一括建替え決議を行うことができる。

2 甲の建替えについては、甲の集会において建替え決議を得た上で、団地管理組合の集会において、議決権の3/4以上の多数による建替え承認決議を得なければならない。

3 甲及び乙の建替えについては、甲及び乙のそれぞれの建替えを会議の目的とする各集会において、区分所有者及びその議決権の各4/5以上の多数で甲及び乙を一括して建替え承認決議に付する旨の決議をすることができる。

4 甲の建替えが乙の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、団地管理組合の甲に係る建替え承認決議において、乙の区分所有者全員の議決権の3/4以上の議決権を有する者の賛成を得なければならない。

【解答及び解説】

【問 12】 正解 1

1 誤り。団地内の建物の一括建替え決議を行うには、団地内建物の全部が専有部分のある建物であることが必要であり、専有部分のない丙建物が存在するような本問では決議することができない。
*区分所有法70条1項

2 正しい。一団地内にある数棟の建物の一部が専有部分のある建物であれば、団地管理組合法人の集会において議決権の4分の3以上の多数による建替え承認の決議を得たときは、甲建物を建て替えることができる。
*区分所有法69条1項

3 正しい。建替え承認決議の場合において、当該特定建物(建替える建物)が2以上あるときは、当該2以上の特定建物の団地建物所有者は、各特定建物の団地建物所有者の合意により、当該2以上の特定建物の建替えについて一括して建替え承認決議に付することができる。したがって、甲及び乙のそれぞれの建替えを会議の目的とする各集会において、区分所有者及びその議決権の各4/5以上の多数で甲及び乙を一括して建替え承認決議に付する旨の決議をすることができる。
*区分所有法69条7項

4 正しい。建替え承認決議に係る建替えが、当該建替える特定建物以外の建物の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、当該他の建物が専有部分のある建物である場合には、当該他の建物の区分所有者全員の議決権の4分の3以上の議決権を有する区分所有者の賛成が必要である。
*区分所有法69条5項