下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成17年 問8

【問 8】 マンションの駐車場が区分所有者の共有に属する敷地上にあり、その駐車場の一部が分譲時の契約等で特定の区分所有者の専用とされている場合、駐車場の使用方法等を定めている規約を変更する集会の決議に当たって、当該特定の区分所有者の承諾を必要とするものは、区分所有法の規定及び判例によれば、次のうちどれか。

1 すべての駐車場について、区分所有者の公平な利用を確保するため、特定の区分所有者の駐車場を専用使用する権利を廃止する旨を定める場合

2 特定の区分所有者が無償で使用している駐車場について、集会の決議で有償化すること及びその額を決定することができる旨を定める場合

3 特定の区分所有者が分譲時の契約で専用使用することとされている駐車場の低廉な使用料について、社会通念上相当な額に増額する旨を定める場合

4 すべての駐車場について、共用部分の維持管理上特段の事由がある場合は、一定期間、管理者がその使用を制限することができる旨を定める場合

【解答及び解説】

【問 8】 正解 1

1 承諾が必要。規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。そして、この「特別の影響」というのは、規約の設定・変更等の必要性及び合理性とこれにより受ける当該区分所有者の不利益と比較衡量して、当該区分所有者が受忍すべき程度を超える不利益を受けると認められる場合とされる。特定の区分所有者の駐車場を専用使用する権利の廃止は受忍限度を超えている。
*区分所有法31条1項

2 承諾は不要。規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。そして、この「特別の影響」というのは、規約の設定・変更等の必要性及び合理性とこれにより受ける当該区分所有者の不利益と比較衡量して、当該区分所有者が受忍すべき程度を超える不利益を受けると認められる場合とされる。特定の区分所有者の使用を廃止するのではなく、有償化することは、受忍限度の範囲内である。
*区分所有法31条1項

3 承諾は不要。規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。そして、この「特別の影響」というのは、規約の設定・変更等の必要性及び合理性とこれにより受ける当該区分所有者の不利益と比較衡量して、当該区分所有者が受忍すべき程度を超える不利益を受けると認められる場合とされる。特定の区分所有者の使用を廃止するのではなく、低廉な使用料について、社会通念上相当な額に増額することは、受忍限度の範囲内である。
*区分所有法31条1項

4 承諾は不要。規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。そして、この「特別の影響」というのは、規約の設定・変更等の必要性及び合理性とこれにより受ける当該区分所有者の不利益と比較衡量して、当該区分所有者が受忍すべき程度を超える不利益を受けると認められる場合とされる。共用部分の維持管理上特段の事由があるのであれば、一定期間の使用制限は、受忍限度の範囲内である。
*区分所有法31条1項


【解法のポイント】本問のような場合は、非常に判断が難しい問題だと思います。しかし、このような問題では、「最も」特定の区分所有者に不利なものを選択するようにすればよいと思います。そのように考えると、「最も」特定の区分所有者に不利なものは、使用権そのものを「廃止」することだということは比較的分かりやすいのではないかと思います。