下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
マンション管理士 過去問解説 平成17年 問4
【問 4】 甲マンションの区分所有者Aの管理費及び修繕積立金(以下「管理費等」という。)の滞納が極めて長期間にわたり、かつ、多額に達し、今後生ずる管理費等についても支払う意思がみられない。この場合における次の記述のうち、区分所有法、民法及び民事執行法の規定によれば、正しいのはどれか。
1 Aの管理費等の滞納が原因で、建物の修繕に重大な支障が生ずるような状況に至っている場合は、この滞納は、建物の管理に関し区分所有者の共同の利益に反する行為に当たる。
2 Aの滞納管理費等を回収するための先取特権は、共益費用の先取特権とみなされ、Aの総財産の上に行使することができる。
3 Aの滞納管理費等を回収するため、区分所有法第59条の規定によりAの区分所有権及び敷地利用権の競売を請求する場合は、これに先立って、Aの専有部分の使用禁止の請求をしなければならない。
4 区分所有法第59条の規定による強制競売は、Aの区分所有権及び敷地利用権の最低売却価額で滞納管理費等を回収できる見込みがない場合は、することができない。
【解答及び解説】
【問 4】 正解 1
1 正しい。区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の「管理」又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。滞納が原因で本肢のような状況が生じているのであれば、共同の利益に反する行為に当たると考えられる。
*区分所有法6条1項
2 誤り。区分所有者は、他の区分所有者に対して有する管理費等の債権について先取特権を有し、この先取特権は共益費用の先取特権とみなされるが、この先取特権は債務者の区分所有権及び建物に備え付けた動産の上に行使することができるにすぎない。
*区分所有法7条1項・2項
3 誤り。区分所有者が共同の利益に反する行為をした場合において、区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができ、特にこれに先立って専有部分の使用禁止の請求をしなければならないという旨の規定はない。
*区分所有法59条1項
4 誤り。区分所有者が共同の利益に反する行為をした場合において、区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができ、最低売却価額で滞納管理費等を回収できる見込みがない場合はすることができないという制限はない。
*区分所有法59条1項