下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成16年 問32

【問 32】 管理者が区分所有者に対して管理費の支払を請求する訴訟を提起し、第一審の勝訴判決を得て、その判決が確定した場合に関する次の記述のうち、区分所有法、民事訴訟法及び民事執行法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理者が区分所有者の区分所有権につき強制競売の申立てをするためには、当該区分所有者に弁明の機会を与える必要がある。

2 口頭弁論の終結前に専有部分の譲渡を受けた特定承継人の財産に対しては、別途債務名義を得なければ、強制執行をすることができない。

3 判決が言い渡され、区分所有者が判決書の送達を受けた後に所在不明になったときは、確定判決の効力として、例外的に自力執行が認められる。

4 管理者は、確定判決に基づき強制競売の申立てをした場合には、先取特権に基づく競売の申立てをすることができない。

【解答及び解説】

【問 32】 正解 2

1 誤り。義務違反者に対する措置としての区分所有権の競売の請求については、区分所有者に弁明の機会を与える必要があるが、本問は判決で勝訴後の強制競売の申し立てであるから、改めて区分所有者に弁明の機会を与える必要はない。
*区分所有法59条2項

2 正しい。当事者の口頭弁論終結「後」の承継人には、判決の効力は及ぶが、口頭弁論の終結「前」の承継人には判決の効力が及ばないので、別途債務名義を得て強制執行をする必要がある。
*民事訴訟法115条1項2号

3 誤り。もともと確定判決の効力として、自力執行というものは認められていない。

4 誤り。強制競売又は担保権の実行としての競売の開始決定がされた不動産について、強制競売の申立てがあったときは、執行裁判所は、更に強制競売の開始決定をするものとされている。したがって、確定判決に基づき強制競売の申立てがなされていても、更に先取特権に基づく競売の申立てをすることができる。
*民事執行法47条1項