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マンション管理士 過去問解説 平成16年 問30

【問 30】 A棟を含む3棟のマンションで構成されている甲団地管理組合(理事長B)で、A棟の共用部分から雨漏りが生じた。甲と当該団地を分譲した乙会社が話合いを行い、両者は、乙が雨漏りについて補修工事を行うこと、また、雨漏りにより専有部分に損害が生じていれば当該専有部分の所有者に対して損害の補償をすることで合意した。この場合に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約(団地型)によれば、適切でないものはどれか。

1 Bは、A棟の総会の決議を経なければ、乙と補修工事の契約を締結することはできない。

2 甲は、団地総会の決議を経ることなく、乙と補修工事の契約を締結することができる。

3 補修工事と同時にA棟の外壁塗装工事を実施する場合、その実施につき、甲の総会で決議することができる。

4 専有部分に雨漏りによる損害が生じている場合、Bは、その補償金の受領をその職務の一環として行うことはできない。

【解答及び解説】

【問 30】 正解 1

1 不適切。標準管理規約では、それぞれの棟についても団地全体で一元的に管理するものとされているので、A棟の共用部分の補修工事契約の締結についても、A棟の総会の決議を経る必要はない。
*標準管理規約団地型別表第2

2 適切。A棟の共用部分の雨漏りに関する補修工事は、保存行為であり、管理者が単独で行うことができる。そして、団地管理組合の理事長は管理者とされているので、甲団地管理組合は、団地総会の決議を経ることなく、補修工事の契約を締結することができる。
*標準管理規約団地型40条

3 適切。A棟の共用部分は、団地管理組合の管理部分であり、外壁塗装工事は、形状又は効用の著しい変更を伴わないものであるから、団地管理組合の総会の普通決議で行うことができる。
*標準管理規約団地型49条2項

4 適切。管理者は、「共用部分」等について生じた損害賠償金の受領について、区分所有者を代理するが(区分所有法26条2項)、専有部分について生じた補償金の受領をその職務の一環として行うことはできない。
*標準管理規約団地型40条2項