下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成16年 問17

【問 17】 甲マンション(管理組合A)の区分所有者が甲マンションにおいて事故により負傷した場合の損害賠償責任に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 事故がAが請負業者Bに発注した外壁タイル改修工事の施工中のタイルの落下によるものであるときは、Bが責任を負い、Aが責任を負うことはない。

2 事故が甲マンションの管理受託業者から清掃業務を請け負った業者Cの社員が電動掃除機の操作を誤ってけがをさせたものであるときは、Cが責任を負い、Aが責任を負うことはない。

3 事故が区分所有者Dがベランダで引越荷物の整理中に生じた物品の落下によるものであるときは、Dが責任を負うが、Aが責任を負うこともある。

4 事故が甲マンションの駐車場のゲートの開閉不良によるものであるときは、Aが責任を負い、区分所有者全員が責任を負うことはない。

【解答及び解説】

【問 17】 正解 2

1 誤り。注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、例外的に、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは責任を負い、Aの注文又は指図に過失があったときは、Aが責任を負う場合もありうる。
*民法716条

2 正しい。Cの社員が電動掃除機の操作を誤り、区分所有者を負傷させているので、被用者がその事業の執行について第三者に損害を加えたと認められるので、Cは使用者責任を負う。しかし、本肢の負傷の原因はCの社員の電動掃除機の操作の誤りである以上、Aの注文又は指図に過失があるとは考えにくく、Aは請負契約の注文者としての責任を負うことはない。
*民法715条1項、716条

3 誤り。共用部分の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは管理組合Aが責任を負うこともあるが、事故の原因が区分所有者Dがベランダで引越荷物の整理中に生じた物品の落下による場合については、Dが責任を負い、管理組合Aは責任を負う必要はない。
*区分所有法9条参照

4 誤り。共用部分の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、管理組合Aが責任を負い、管理組合が責任を負うということは、区分所有者全員が責任を負うことになる。
*区分所有法9条参照