下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成16年 問16

【問 16】 Aが建築業者Bに請け負わせて、引渡しを受けたマンションの瑕疵に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 AB間の請負契約において、マンションの耐震性を高めるため、主柱を断面の寸法300mm×300mmの鉄骨とすると特に約定された場合でも、構造計算上マンションの安全性に問題がなければ、Bがこれを同250mm×250mmの鉄骨で施工しても、契約不適合があるとはいえない。

2 Bの工事に契約不適合があり、契約不適合の修補が可能である場合、Aは、Bに対し、修補の請求をすることなく、直ちに修補に要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。

3 Aは、マンションの主要な構造部分について安全性及び耐久性に重大な影響を及ぼす欠陥があり、建て替えざるを得ない場合、Bに対し、契約を解除することはできないが、建替えに要する費用相当額を請求することはできる。

4 Aは、工事の残代金を支払っていない場合において、Bに対して有する契約不適合の修補に代わる損害賠償債権を自働債権として相殺するとの意思表示をしたときは、マンションの引渡しを受けた日にさかのぼって、残代金の支払の履行遅滞による責任を免れる。

【解答及び解説】

【問 16】 正解 2

1 誤り。当事者が請負契約の内容として、主柱の断面の寸法を特約している以上、その特約に反する工事は、請負契約に反しており、契約不適合があるといえる。

2 正しい。仕事の目的物に契約不適合があるときは、注文者は、請負人に対し、目的物の修補による履行の追完を請求することができる。しかし、これは損害賠償の請求を妨げない。
*民法564条、559条

3 誤り。仕事の目的物に契約不適合があれば、債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときを除き、注文者は、契約の解除をすることが「できる」。これは、建物その他の土地の工作物についても同様である。なお、建て替えざるを得ない場合、建替えに要する費用相当額の損害賠償請求をすることができるという部分は正しい。
*民法564条、559条

4 誤り。請負の報酬請求と、契約不適合責任の追及としての損害賠償請求は、同時履行の関係に立つものとされているので、そもそもAがBに対して損害賠償債権を有しているときは、工事の残代金の支払は履行遅滞になっていない。