下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成16年 問15

【問 15】 Aは、甲マンションの201号室の購入に際してB銀行から融資を受け、平成14年10月1日に、同室にBのために抵当権を設定してその登記をした後、同月15日に、Cに同室を賃貸したが、Aが事業に行き詰まってBに対する返済ができなくなったため、Bの申立てにより同室が競売に付され、平成16年4月25日、Dがその買受人になった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれは、正しいものはどれか。ただし、AC問の賃貸借契約には、特約はないものとする。

1 AC間の賃貸借契約の期間が3年でその登記がされていた場合、Cの賃借権は、Dに対抗することができる。

2 AC間の賃貸借契約の期間が5年でその登記がされていた場合、Cは、Dから201号室の明渡しを請求されても、平成17年1月25日までは、その明渡しが猶予される。

3 AC間の賃貸借契約の期間が5年でその登記がされていた場合、Cは、201号室を明け渡すときに、Dに対し、Aに差し入れた敷金の支払を請求することができる。

4 Cは、201号室を明け渡さざるを得なくなった場合でも、Aに対し、損害の賠償を請求することができない。

【解答及び解説】

【問 15】 正解 1

1 正しい。AC間の賃貸借契約は、平成14年10月15日に締結されており、民法の旧395条の短期賃貸借制度(平成16年4月1日に廃止)が適用される。したがって、建物賃貸借で期間が3年を超えていないので、Cの賃借権は、Dに対抗することができる。
*旧民法395条

2 誤り。5年の建物賃貸借は、もともと短期賃貸借制度では保護されない。そして、抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者は、その建物の競売における買受人の買受けの時から「6箇月」を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。したがって、明渡しが猶予されるのは、平成16年10月25日までであって、平成17年1月25日ではない。
*民法395条

3 誤り。5年の建物賃貸借は、もともと短期賃貸借制度では保護されない。そして、抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。ただ、この制度は建物の「明渡し」を猶予するにすぎず、賃貸借契約自体は、競売により終了している。したがって、Cが敷金の返還請求をする相手は、Dではなく、元の賃貸人のAである。
*民法395条

4 誤り。Cが建物を明渡さざるを得なかった場合は、賃貸人Aの債務不履行ということになるので、CはAに対し損害賠償請求をすることができる。
*民法415条


【解法のポイント】肢1については、現在において適用されることはないので、一応念のため問題文は掲載していますが、気にする必要はないと思います。肢2~肢4のみ勉強しておいて下さい。