下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成16年 問11

【問 11】 マンションの建替えにおける区分所有権及び敷地利用権(以下この問いにおいて「区分所有権等」という。)の売渡請求権等に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 買受指定者(区分所有法第63条第4項に規定する買受指定者をいう。以下この問いにおいて同じ。)は、建替えに参加する区分所有者がその後に建替えに協力しない場合でも、その者に対し、売渡請求権を行使することは認められない。

2 買受指定者は、建替えに参加しない区分所有者に対して売渡請求権を行使した場合、その意思表示が相手方に到達した時に、相手方の何らの応答がなくても、直ちに、区分所有権等を取得することができる。

3 買受指定者は、建替えに参加しない区分所有者に対する売渡請求権を行使した場合、区分所有権等の代金を直ちに支払うことができない特段の事由があるときは、裁判所からその支払につき相当の期限の許与を受けることができる。

4 建替え決議の日から2年以内に正当な理由がなく建物の取壊しの工事に着手しない場合、売渡請求権の行使により区分所有権等を売り渡した者は、この期間満了の日から起算して6ヵ月以内に、買主が支払った代金相当額をその区分所有権等を現在有する者に提供して、これらの権利を売り渡すべきことを請求することができる。

【解答及び解説】

【問 11】 正解 3

1 正しい。建替え決議に賛成した各区分所有者若しくは建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者又は買受指定者は、「建替えに参加しない旨を回答した区分所有者」に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。建替えに参加する区分所有者に対して売渡請求権を行使することができる旨の規定はなく、これは当該区分所有者が建替えに協力しない場合でも同様である。
*区分所有法63条5項

2 正しい。区分所有権等の売渡請求権は、形成権であるとされ、請求権を行使する者の一方的な意思表示で効力が生じ、その意思表示が相手方に到達した時に、相手方の何らの応答がなくても、直ちに、区分所有権等の所有権の移転の効力が生じる。
*区分所有法63条5項

3 誤り。売渡請求権の行使があった場合において、「建替えに参加しない旨を回答した区分所有者」に建物の明渡しによりその生活上著しい困難を生ずるおそれがある等の事由があるときは、建物の明渡しにつき相当の期限を許与することができるという規定はあるが、売渡請求権を行使した側に代金支払いの期限を許与するという規定はない。
*区分所有法63条6項

4 正しい。建替え決議の日から2年以内に正当な理由なく建物の取壊しの工事に着手しない場合には、区分所有権等を売り渡した者は、この期間の満了の日から6月以内に、買主が支払った代金に相当する金銭をその区分所有権等を現在有する者に提供して、これらの権利を売り渡すべきことを請求することができる。
*区分所有法63条7項