下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成16年 問10

【問 10】 甲マンション(規約ですべての専有部分を専ら住宅として使用するものとされている。)は、15戸からなっており、そのうち2戸は102号室の区分所有者Aが所有し、その他の専有部分はA以外のそれぞれ異なる区分所有者が所有している。この場合における集会の招集請求又は決議に必要とされる区分所有者の数に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、その他に規約に別段の定めはないものとする。

1 管理者に対して、ペット飼育禁止の規約の変更を目的とする集会の招集を請求するために必要な区分所有者の数は、3以上である。

2 廊下に物置を設置して通行を妨げている区分所有者に対する、物置の撤去を求める訴えを提起するための集会の決議に必要な区分所有者の数は、11以上である。

3 102号室を賃借してカラオケ店を経営し、騒音を発生させている賃借人に対する、専有部分の引渡しを求める訴えを提起するための集会の決議に必要な区分所有者の数は、11以上である。

4 柱に炭素繊維シートを巻き付ける耐震改修工事を行うための予算を承認する集会の決議に必要な区分所有者の教は、8以上である。

【解答及び解説】

【問 10】 正解 2

1 正しい。区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。そして、甲マンションにおいては、Aが2戸の区分所有権を有しているので、区分所有者の数は「14」である。したがって、集会の招集請求を行うのに必要な区分所有者の数は「3」となる。
*区分所有法34条3項

2 誤り。「物置の撤去を求める訴え」は、行為の停止等の請求に該当するので、その訴えを提起するには、区分所有者及び議決権の過半数の集会の決議が必要となる。そして、甲マンションにおいては、Aが2戸の区分所有権を有しているので、区分所有者の数は「14」である。したがって、本肢の訴えを提起するための集会の決議に必要な区分所有者の数は、8以上である。
*区分所有法57条2項

3 正しい。占有者に対する引渡し請求をするためには、区分所有者及び議決権の3/4以上の集会の決議が必要となる。そして、甲マンションにおいては、Aが2戸の区分所有権を有しているので、区分所有者の数は「14」である。したがって、本肢の訴えを提起するための集会の決議に必要な区分所有者の数は、「11」以上である。
*区分所有法60条2項

4 正しい。その形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更(軽微変更)は、区分所有者及び議決権の過半数の集会の決議が必要である。耐震改修工事に関し、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事は、この軽微変更と考えられる(標準管理規約47条関係コメント)。そして、甲マンションにおいては、Aが2戸の区分所有権を有しているので、区分所有者の数は「14」である。したがって、本肢の集会の決議に必要な区分所有者の数は、8以上である。
*区分所有法18条1項