下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成16年 問9

【問 9】 甲マンションの現況は、ア~ウのとおりである。甲マンション管理組合の管理者が、集会の開催に当たり、議決権の対象となる戸数の総数及び自己の名義で議決権を行使することができる者に関して行った次の説明のうち、区分所有法、民法及び民事執行法の規定によれば、正しいものはどれか。

ア 甲マンションは、全戸の分譲開始から1年足らずであるが、一部が売れ残り、販売を継続中である。

イ 103号室の区分所有者Aは、所在不明で、財産の管理人も置かれず、Aの債権者Cが時々外部から同室の点検を行っている。

ウ 201号室の区分所有者Bは、第三者のために同室に抵当権を設定し、差押えを受けている。

1 議決権の対象となる戸数の総数は、全戸数ですが、規約で販売済みの戸数とすることもできます。いずれの場合にも、Aが集会に出席すれば、議決権を行使することができることは当然です。

2 議決権の対象となる戸数の総数は、全戸数ですが、集会の決議で販売済みの戸数とすることもできます。集会の決議が行われた場合には、Cは議決権を行使することができますが、差押えを受けているBは、議決権を行使することはできません。

3 議決権の対象となる戸数の総数には、所在不明のAの分は含まれません。また、差押えを受けているBが議決権を行使するには、裁判所の許可が必要です。

4 議決権の対象となる戸数の総数は、全戸数ですから、Aが所在不明でも、その分を集会の決議で除くことはできず、Bも議決権を行使することができます。Cは、議決権を行使することはできません。

【解答及び解説】

【問 9】 正解 4

1 誤り。各区分所有者の議決権は、共用部分の持分割合によるが、規約で別段の定めをすることができる。しかし、議決権は区分所有者の権利であり、規約で議決権の割合を定めることはできても、議決権そのものを奪うことはできない。なお、Aは所在不明であっても、区分所有者であるから、後半の部分は正しい。
*区分所有法38条

2 誤り。各区分所有者の議決権は、共用部分の持分割合によるが、規約で別段の定めをすることができるが、集会の決議で別段の定めをすることはできず、したがって、集会の決議で議決権を奪うことはできない。また、Cは区分所有者の債権者にすぎないので、議決権を行使することはできない。さらに、Bは差し押さえを受けていても区分所有者であるから、議決権を有する。
*区分所有法38条

3 誤り。Aは所在不明であっても区分所有者であるから、議決権の対象となる戸数の総数に含まれる。また、Bは差し押さえを受けていても区分所有者であるから、議決権を有し、議決権の行使に裁判所の許可は不要である。
*区分所有法38条

4 正しい。Aは所在不明であっても区分所有者であるから、議決権の対象となる戸数の総数に含まれ、議決権も行使することができる。また、Bは差し押さえを受けていても区分所有者であるから、議決権を有する。さらに、Cは区分所有者の債権者にすぎないので、議決権を行使することはできない。
*区分所有法38条